第148話 なんなら空間も歪んだ
その瞬間確かに時が止まった。
なんなら空間も歪んだ。
「は?」
「だから、俺はフランの事を異性として好きになったと先程言ったのだが?」
そして今日この日よりフランとシャルロッテどっちが異性として魅力的かという内容の口論からどちらがフランに相応しいかという口論に変わるのであった。
◆
「最近王国がキナ臭い動きをしておりますがいかが致しましょう?」
白に統一されており、見事な彫刻や建築技術により美を作り出された部屋、その中心に横片側に八脚の白い椅子を備え付けられている長机に白いシーツがかけられている。
その机には今現在一七名が着席しておりその中の一人、部屋の奥机の上座に当たる一脚だけある他の椅子よりも明らかに豪華な作りの椅子へ白と金で装飾された衣服を着飾った青年が足を机に投げ出し座っている。
しかしその青年の態度を咎める者などこの中には誰もいない。
むしろ敢えて咎めていないと言っても良いだろう。
傲慢さを増長すればする程小さな違和感を気付く事もなく簡単に操りやすい傀儡として扱う事が出来るという者である。
最悪その違和感、傀儡でしか無いという事に気付き権力を利用し噛み付いて我々を処刑などしようものならばこの青年の持つ肩書き、聖教皇という肩書きを剥奪し弟君を即位させれば良いだけの話である。
将来的には年端もいかぬ時から洗脳し信頼仕切って疑うという事すら考えもしないであろう弟を即位させる事は決まっている為遅いか早いかの違いでしか無いので今この何も知らず踏ん反り返っている青年に現実を突きつけたとしても何も問題ない。
「放っておけ。 最悪王国が我々聖教国を攻めて来たところで神の使徒である我らがいる限り負ける訳がないしどんな事が起きようと我が聖教国が滅びるなどと言う事など絶対にない。」
まるで我々が勝つ事が当たり前であり負ける事など無いと微塵も疑いすらしないこの青年を、つくづく馬鹿であると思ってしまう。
本当にこの馬鹿の言う通りどんな事が起きようとも神の加護の元絶対に滅びる事が無いと言うのであれば軍事にここまで税金を使う必要は無いし、極端な話をすれば教皇も我々も国を作る国民も要らないのである。
だが現実は国という身体を作る血肉となる土地と民が無くては国家として成り立たず、国という肉体を動かす脳である我々や皇族がいなければ国を運営して行き継続して行く事が出来ず、我が身を守る剣と盾である軍が無ければ他国に簡単に蹂躙されてしまうのである。
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