第147話 そして俺は理解する
それは余りにも突然のことであり、またまさかあのフランに撫でられるとは思ってすらいなかった為抵抗する事も無くフランによりされるがまま撫でられ続けるも思考が追い付くのに数秒間も有してしまった。
「おいコラっ! やめろ! 子供じゃねぇんだから頭を撫でるんじゃねぇっ!」
「ふふ、少し言い過ぎましたわ。 ですがほっぺにご飯粒をつけている様では、まだまだ子供ですわね」
その事実に嬉しいのか恥ずかしいのか分からずぶっきら棒にフランの手を払いのけるもその事を残念だと思ってしまう自分がいるわけで。
そしてフランはまるで聖母の様な微笑みを俺へ向け、余りの美しさに時が止まってしまった様な感覚に陥ってしまう。
それにより出来た隙にフランは俺の頬についていたライスを摘むとそのままそれを口にして、今度は悪戯が成功した様な表情をする。
「それではわたくし達はそろそろ教室へ戻らせて頂きますわね」
「あ、あぁ……」
俺はそれだけの言葉を何とか絞り出し返事を返すのが限界であった。
そして俺は理解する。
これが恋であると。
その事を理解した、理解してしまった瞬間俺の顔が真っ赤になるのが鏡を見なくても分かる。
きっと今俺の顔は熟れたリンゴの様に真っ赤になっている事であろう。
今までフランの前だけ何故か偶に使い物にならなくなるノアの気持ちが今なら分かると同時に、先程フランが言った『好きな人の前では知能が低下する』という意味が分かる気がする。
きっと俺もまたこれから先フランを前にするとポンコツとなってしまう事があるのであろう。
流石にポンコツと化したノアを何度も見ている俺はそれを反面教師に今からそれをどうすれば悟られないのか考える必要があるようだ。
それと同時に今までシャルロッテが俺へ言い続けた言葉の意味を本当の意味で理解すると同時に腹をくくり決意を決めるのであった。
◆
現在は放課後、とても学園の一室とは思えない高級な造りに歴史的価値がありそうな絵画や骨董品が置かれたサロンにはレオを中心として不穏な空気が漂っていた。
その空気を他の者が感じ取ると、ここでレオに目をつけられたら面倒くさいと瞬時に判断した後、各々気配を消し口を噤見ながらこれから何が起こるのかと期待と不安が入り混じった緊張感も漂い出す。
「なぁ、ノア」
「何? レオ。 珍しく真剣な顔でどうした?」
「まず初めに言っておく。 俺は謝らないからな」
「だからどうしたって言うんだよ? 急にそんな事を言われても何が何だか分からね───「フランを好きになった」───………は?」
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