第136話 ブラックローズによる策略
それは言うなればもう隠す必要は無いという現れであろう。
しかし、単なる構成員であの強さ。
はっきり言って寒気どころでは無い。
それはまるで首元にナイフを突き付けられた様な恐怖を感じてしまった。
そう考えれば武闘大会で表舞台へと出てきた理由の一つが分かる。
敵対しようと考えている者が見ればそれは『敵対すればどうなるか分かっているだろうな?』とアピールしている様なものである。
首元にナイフを突きつけられそんな事を言われて首を縦に振れる者が果たして何人いるというのだ。
おそらくあの一日だけでかなりの敵対組織が手を引いたと見て良いだろう。
それは言い換えれば、敵対組織が引けば引く程ブラックローズは身軽に動きやすくなるという事である。
そしてまさか奴隷商人のジュレミアがブラックローズのメンバーであるという事には、こればかりはしてやられたと言っても過言では無い。
一体どれほどの、我が秘密結社の大事な情報をあのジュレミアが知っているというのか想像するだけで恐ろしい。
今まで、いわゆる闇の組織の中では我が秘密結社シャドウクロウこそがその中の頂点であり絶大なる力を持ち裏社会を思うがままに動かして来たという自負が、そしてプライドが今まではあった。
しかしそれら全ては秘密結社ブラックローズによって作られた虚像であると知った時、私は、我々は想像を絶する屈辱を味合わされたのである。
一矢報いたいという思いはあの日より膨らみ続けているのだがそうも言ってられない事態が起きた。
今までいう事を聞いていた末端の組織達が全く言う事を聞かなくなったのである。
その原因は何かというと銃という新たな武器であると言えよう。
その武器は三歳の子供でも大の大人を殺傷出来る、出来てしまう程の力を力無き者へ与えてしまうという恐ろしい代物であった。
それは即ち今まで下手に出ていた者達が反旗を翻しうるだけの力がそこにあるという事に他ならない。
それこそ能力がある新規メンバーを見つけ出すのには苦労していた今までと違い、簡単に誰でも即戦力としての役割を果たす事ができるという事でもある。
はじめのうちはシャドウクロウの下っ端構成員が舐めてかかってしまい多くの死人が出てしまう程シャドウクロウに大きな傷を与え、そして銃という武器を我がシャドウクロウも装備する要因ともなったのである。
しかしこれさえもブラックローズによる策略だったのであろう。
それは武闘大会で銃という武器をこれでもかと宣伝及び各々の銃の扱いのデモンストレーションを行ったのである。
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