第135話 表立って動き出した
だからフランの側仕えは奴隷なのである。
そう考えればフランがあのブラックローズなどと言う組織を作り、あれ程まで戦闘に特化した奴隷を揃えるという事も理解が出来る。
一体フランは何と戦おうとしているのか、最早検討もつかないがこれだけははっきりとしている事がひとつだけある。
「そうか、そうか。それは残念だな。 でも、フランがどうしても折れそうなとき、負けそうなときはいつでも俺を頼ってもらって構わない。 それはフランを手伝うなどではなく、愚痴を聞く等でも構わない。 とにかくフランが潰れてしまいそうな、折れてしまいそうなときは俺の事を頼っても良いと、俺がフランの心の拠り所なれば良いなと思っているという事を心の片隅にでも留めてもらえたら、今はそれで我慢しよう」
それは何があってもフランの味方であるという事である。
欲をいえばフランを娶りたいのだが、今はフランの未来の為にも我慢しよう。
決してヘタれたとかそういう訳ではないからな。
弱みに付け込んで告白するなど男性の風上にも置けぬクズ野郎であり、俺がヘタレという訳ではない。
だというにも関わらず心の中で「それをヘタレと言うのですよノア様、いやノア坊ちゃん。 その隙に他人に取られて後悔するだけですよ」という我が執事兼側仕えの声が聞こえて来るので後で罰を与えてやるとしよう。
何故か心の中で「それは無いですぜ、ノア坊ちゃんっ!! 私は大人の男性として全くもって善の気持ちから良かれと思ってノア坊ちゃんにアドバスをわざわざ差し上げたんですよっ!?」などと無駄な言い訳が聞こえるがこれは決定事項である。
「分かりましたわ。 ノア様の申し出、心の片隅にでも仕舞っておきましょう」
「あぁ、今はそれで良い。 俺も今のフランを見るのは辛いが我慢しよう」
「しかしノア様、いつまで至近距離でわたくしを見つめ、そして頭を撫でておいでで御座いますの? こんな所を誰かに見られでもすれば一応王族であられますノア様、変な噂が瞬く間の広がってしまいますわ」
「知っている。 むしろそれ込みでやってるフシはある。 それに嫌ならば俺のこの手を振りほどき、ここから去れば良いだけであろう?」
「成る程、それもそうですわね。 それでは御機嫌よう、ノア様」
そして俺は去り行くフランの背中を見て、何があっても助けれるよう権力も武力も使える力その全てを強くしようと、そう決意するのであった。
◆
遂に奴等ブラックローズが表立って動き出した。
まさか帝国の武闘大会で、たとえそれが単なる構成員であったとしても今までその存在を知る者が居なかった闇の組織が民衆の目が、権力者の目が、様々な目がある様な場所で表舞台に出てくるとは思わなかった。
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