第128話 セクハラで訴えましてよ
しかしながらわたくしも昔は恥ずかしながらもツンデレというキャラクターを可愛いと思った時もございました。
結婚してからは可愛さのかけらも感じ得ないどころか随所でイラっとさせられるのだから人は変わるものである。
むしろツンデレのツンの部分が元嫁のヒステリックに怒鳴り散らす場面を彷彿とさせ………話が長引きそうですので戻しますわ。
そう、言うなれば今のわたくしは波に乗っていると言っても過言では無いと思っておりますの。
───そう思っていた時もございました。
わたくしはあの神のクソ野郎が上げてから地面に叩きつける性格最悪なクソ野郎である事を忘れ無防備にも放課後の教室で眠ってしまっておりました。
ええ。
ここまでは良いでしょう。
学園生活、流石に放課後は少ないかもしれませんがそれでも自分の席で眠る事など良くある事であろう。
わたくしは最近の波に乗った運気と、昨日の優勝おめでとうパーティーで若干の寝不足もあり思わず放課後教室で眠ってしまっていたようである。
ここまでも良いとしよう。
問題は、何故目を覚ますと目の前に頬杖をついて慈しむ様にわたくしを見つめ、わたくしの頭を優しく撫でているノア様がいらっしゃるのかという事である。
しかも頭の撫で方が、なかなか懐いてくれない野良猫を撫でるかのような手付きでわたくしが目覚めてもなお撫で続けているでは無いか。
あんまりな出来事に身体は硬直して声を上げる事も身体を動かす事も出来ない。
そしてこんな時に限って側使えは、 武闘大会三人共側仕えとして周った穴埋めとして振替休日という訳で休日にしてしまっているのであるから救えない。
だがしかし彼女達に振替休日を与えた事には後悔はしていない。
悔やむはわたくしの危機管理能力の低さである。
「起きた?」
そしてわたくしと目が合ったノア様は優しいボイスで、わたくしにだけ聞こえる声で囁いて来る。
そして未だノア様の右手掌はわたくしの頭の上である。
あぁあっ! わたくしの女性のとしての本能が喜び叫んでおりますわっ!
この甘いマスクと甘いボイスに騙されてはいけませんっ! コイツはわたくしを約百五十回も殺す男なのである。
それも様々な方法でもってである。
しかしながらわたくしを殺す絶好のチャンスを棒に振りましたわね。
「お、乙女の寝顔を盗み見るなどというその行為、セクハラで訴えましてよ……っ!」
「どうぞ。 でもそれだとセクハラで訴えられる前にフランを堪能させて貰うとするよ」
こ、コイツわたくしが狼狽えているのを分かってる上で返事をして来てますわね。
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