第125話 あれでよろしかったんですの?
「ま、待てカミーラっ!! 俺は───」
「まさかわたくしの事を思って、信じてあの魔術を使ったとかほざくのではございませんよね?」
そう言うとカミーラはゆっくりとカミーラの元親の元へと歩き出す。
「か、考え直せっ! カミーラ!!」
「そ、そうよっ! カミーラっ!! 私達は今のカミーラなら愛することが出来るのですっ!!」
魔術が通用しないという事、魔力が切れているという事、そしてカミーラがその表情からも見て分かる程に明らかにブチ切れて怒髪天である事により今までの高圧的かつ尊大な態度が嘘のようにみっともなく命乞いをし始める。
そして次の瞬間にはジュレミア邸に爆音が響き、その振動で窓ガラスがカタカタと揺れるのであった
◆
「あれでよろしかったんですの? カミーラ」
わたくしはジュレミア邸の門構え、その出入り口の方を物憂げに見つめているカミーラへと優しく語りかける。
一瞬そっとしておいた方が良いのかもとは思ったのだがあれ程の美人が物憂げに窓辺に佇んでいるのである。
逆に声をかけないという事は前世の感性からしてあり得ない。
そしてカミーラは最後の最後で元親達を殺す事はせずに今カミーラが出せる最大威力の爆破魔術を、元親にも分かるようにジュレミア邸上空に放っち、逆立ちしても勝てない事を悟ったカミーラの親は殺される前にすごすごとジュレミア邸から退散して行った。
そして、わたくしは彼等の息の根を止めなくても、怨みを晴らさなくても良かったのかと聞く。
「良いのですわ、あれで。 あの人達を生かしておいて良い事など何も無いとは思いますけれども、逆に殺した所で何も良い事などございませんもの。 だったら後悔や恐怖、そしてそのプライドを粉々にし、さらにわたくしの情けで生かせていただくという生き恥を抱えながらこれからの人生を消費して頂く方がよっぽどあの方達にとって良い罰として、また良い薬となりましょう」
そう言うとカミーラはわたくしの方へ振り向き最高の笑顔をした後、わたくしの胸に飛び込んで声を殺して泣き始める。
あぁ、わたくしの胸板………ではなくて豊満なボディーに伝わるカミーラの柔らかな感触、不謹慎では御座いますがたまりませんわねっ!
でもまぁ、あんな奴らでもカミーラの親であることには変わりない為カミーラにしか分からない感情があるのであろう。
ですからカミーラの気持ちが整理出来るまで存分にわたくしの胸で泣いてよろしくてよ!
ええ、この様な状況にも関わらず邪な気持ちなど誰が持ちましょうか。
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