第100話 密かなブーム
だから私の側にいる事で、私をいつでもサポート出来る状況を作り出して間接的にでもローズ様の役に立ってるポジションにウル様はいる訳ですね。
しかし困ったのも事実である。
これからチョコレート専門店を手伝うかローズ様の為に何か私でも出来る事をと考えていたのだがそれら全て出来ないではないか……。
一体どうしたものかと考えていたその時、私はこの休日というルールの綻びを見つける事が出来た。
「あのウル様、私この『休日はローズ様の為に動いてはいけない』というものの綻びを見つけたかもしれないです」
「な、何ですかっ! その綻びはっ!? おおおお、教えてくださいっ! さぁさぁ早くっ!」
私のルールの綻びという言葉を聞きウル様が鬼気迫る表情で私の肩を掴むと、その綻びが何なのか早く教えて欲しいと激しく揺さぶって来る。
「言いますからっ! 言いますからウル様、落ち着いて下さいっ!」
「うっ、す、すまない。 少し取り乱してしまったみたいです」
少し? と疑問に思うものの、それを口に出すのを何とか抑える事に成功する。
「今日一日私と一緒に遊びに行きましょうっ!」
「うーん……それは別にいいのですが、それと休日ルールの綻びと何の関係があるんですか?」
「お土産を買ってくれば良いんですよっ! それも、あくまでもティータイム用のお菓子ですとか茶葉やコーヒー豆ですとか、ローズ様ではなくティータイムの為に買って来ましたとでも言えばあのローズ様でも納得してくれるでは?」
これだとあくまでもティータイム用に買ってきたのであってローズ様の為に買って来てはいないので大丈夫なのでは?と思ってしまう。
「………そっ」
「…そ?」
「それだぁっ!! でかしました、アナスタシオさんっ!! こうしちゃおられませんっ、早速一緒に遊びに行きましょうっ!! そうですね、少し帝都から離れた、片道馬車で二時間前後にある最近地味に流行りだしています観光スポットまで行きましょうっ!」
「ま、待ってくださいっウル様っ!観光スポットは逃げませんからっ!」
こうしてブラックローズのメンバーの間で休日はローズ様に何かしらのお土産を買うという事が密かなブームとなったのであった。
◆
「ついに動き始めたようですわね」
この言葉に意味はあるかと問われれば別段これといって意味はない。
強いて言うならば格好いいから、である。
しかしながらそう言う思わせぶりな言葉を呟きたくもなるというものである。
何を隠そうジュレミア経由で新しいジャンルの店が本日開店するからである。
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