第99話 仕方ないじゃないですかっ!
そんなローズ様が怒る事、その事を知る事がむしろ恐ろしく感じてしまい逆に聞きたくないなどと思ってしまう。
今までに私はローズ様の逆鱗に触れる様な事をしているのかもしれない。
知りたい。だけど万が一無礼をはたらいているかもと思うと知りたくない。しかしこれから一緒に活動する為には知らなくてはいけない。
そんなジレンマに悩まされ始めた時、ウル様がついにその答えを言い始める。
「週二回儲けられる休日はしっかり休まないと真面目に怒られます。 それはもう、どれほどこのブラックローズの為に働きたいと、働かせて下さいと懇願してもこれだけは決して折れてくれず、むしろ更に懇々と説教が長引く程です」
「………え?」
一体どんな答えが返って来るのかと心の準備をして待ち構えていたのだが、その内容を要約すれば休日は必ず休むという事でありなんだか拍子抜けしてしまった。
「その表情から拍子抜けしているようですね」
「す、すみません。 そういう訳では決してないのですがもっとこう秘密結社っぽい内容かと思っておりました為ですね……」
どうやら私の感情が表情に出ていたらしく、それを指摘されて少し恥ずかしく思う。
いや、だって仕方ないじゃないですかっ!
秘密結社のトップであるローズ様の怒る事ですからもっと秘密結社っぽい内容だと思うじゃないですかっ!
何ですかっ!? 休まなかったら怒られるってっ!
「まったく、良いですか? アナスタシオ」
そんな私を見てウル様は先輩奴隷風を吹かし、やれやれという表情をしながら喋り出す。
「休日は必ず休まなければならないという事はローズ様の為にあれやこれやと動く事も出来ないという事なんですよ?」
「………え? いやだってチョコレート専門店の仕事を休むという事ではないのですか? ローズ様の為に動く事は私達にとって生き甲斐であり、まさに生きる理由であると思うのですが? それすら出来ないというのは拷問に近いのでは無いのですか?」
「私もローズ様にそれはもう身振り手振り誠心誠意懇切丁寧にお伝えしてみたのですが『休む事も仕事のうちですわっ!』とそれはもう取り付く島も無いといった感じでした」
そう言うとウル様はその時を思い出したのか深いため息を吐く。
しかしながら丸一日ローズ様の為に何もしてはいけない、しかもそれが一週間に二日もあるなど想像するだけでその休日が恐ろしい。
「ちなみに今日、体調を考慮してアナスタシオ、そしてシフトの関係で私が休日です」
あぁ、なるほど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます