第73話 私が何故怒っているのか考えといて下さい
これではただのセクハラだなと、老齢の元騎士団所属件現在指導役のドルガさんの事を思い出しここで会話を終わってしまえば本当にただのセクハラ親父になりかねないと会話を続ける事にする。
ドルガさんの場合はただ単に新人騎士団と自分との歳が離れてしまっている関係で会話のネタが合わず、コミュニケーションを図るために安易なセクハラ発言に手を出しているだけなのだが、それはそれこれはこれである。
騎士団団長が使って良い手法では無いと反省する。
「そんなヒルデガルドに聞きたい事があるのだが……」
「はいっなんなりとっ! 結婚式場の件ですかっ!? 結婚式の日取りの件ですかっ!? 子供の人数ですかっ!? そうですね、私は結婚式を挙げるなら豪華絢爛な教会や大聖堂よりもポールミア聖堂の様な飾り気のない、ですが整然とした所で結婚式を上げたいと思っておりますっ! 日取りはやはり──」
「待て待て待て落ち着けっ! 結婚式の話ではない」
まるでセクハラ上司の会話を早く終わらせてしまいたいと言わんばかりのヒルデガルドの対応に少し心を痛めつつ結婚式の話ではないと宥める。
いやまぁ行く行くはとは思っている為あながち間違いでは無いのだが。
「最近フランさんという気になる女性が出来てな、女性というものはどういった贈り物を贈ったら喜ぶか同じ女性で同じく美人であるヒルデガルドに聞こう──」
「これ、資料ですので今日までには終わらしといて下さい」
俺の言葉は『ドンッ』という音と共に置かれた大量の資料と、明らかに怒っているヒルデガルドにより遮られてしまう。
「はっ!? ちょ、おいっ! いきなりどうしたんだっ!?」
「私、怒っているんですよ? 団長」
「き、急に美人などとセクハラじみた発言をした事を言っているのかっ!?」
「いえ、それは非常に嬉しく思います」
「では何故怒っているんだっ!?」
「そうですね………本日私がその書類を取りに来るまでの間私が何故怒っているのか考えといて下さい。 そして分かったのならば私の気持ちを弄んだ責任を取って下さいね、団長さん」
「あ、おいっ!!」
そして俺は新たな悩みの種が出来、頭を抱えるのであった。
◆
わたくしは頭を悩ます。
現在は数学の授業中であるのだがわたくしのノートにはそんな授業の内容では無くこれから起こるであろうゲームイベントや帝国と王国の戦争、そしてわたくしのひいてはブラックローズの活動内容、そしてそれを行った際の予測が書き込まれている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます