第37話 何も起こらない事に疑問に思ってしまう
「アンナ様、昨日の行った各種テストの答案用紙です」
「いつもご苦労様、ルル。奴隷達の状況はどうかしら?」
そんな事を思っていた時、ルルが昨日行った各種テストの答案用紙を持ってきてくれる。
ちなみにルルはジュレミアにより捨てられた奴隷で、一番最初に助けた奴隷である。
そして次にアリシア、ベラ、カミーラと助け出し今ではブラックローズに欠かせない奴隷となるまで育ってくれている。
勿論、全員フランお嬢様に一生の忠誠を誓っているのだがそれをフランお嬢様に伝えると「一番は自分にしなさい。次に家族、わたくしはその次ぐらいでいいわ」などとおっしゃるので今では皆心の中で忠誠を誓っている。
そしてこの七名で夜な夜な集まり今日のお嬢様会を開くのだがその内容は主に本日の側仕え当番による報告が中心である。
あぁ、強く揺るぎない信念と研ぎ澄まされた叡智をお持ちなのだが実は意外と傷付きやすいフランお嬢様にもう私達はメロメロでございますっ!
そして傷付きやすいフランお嬢様だからこそ私達が全力でお守りするのだ。
ちなみにその他の奴隷達は万が一の事を考えてブラックローズのトップがフランお嬢様である事を教えていない。
奴隷契約魔術式があればそれを解呪する術式もある為である。
それはとても可哀想な事なのだが人数が増えるという事はそういう事なのであろう。
しかし、その奴隷達もお嬢様の信頼を勝ち得る事が出来た者に対しては話は別である為将来的にはフランお嬢様との面通しが可能となるであろう。
その為後輩奴隷達には頑張って貰いたい限りである。
そんな事を思いながら最早帝国近衛魔術師部隊すら圧倒する程の戦力に育った、後にブラックローズ幹部七人衆の一人、赤髪の炎姫と呼ばれる様になるアンナは最早生きがいであり人生と言っても過言では無いフランお嬢様の為に今日も働く。
もしフランがブラックローズの戦力に気付けていたのなら、どっかの国と戦争でも起こすのかと不安になり奴隷の育成内容を練り直したのであろうが幸か不幸か未だその事に気付けていない為順調に奴隷達は育っていくのであった。
◆
私はあの日からいつドミナリア家から何かされるのではないか?実家に圧力をかけられるのではないか、又は連れ去られて拷問にかけられるのではないかと怯えながら暮らしていた。
しかしあれから約半月経っても何も起こらない事に疑問に思ってしまう。
そしてあの日より行動に移す前に一度立ち止まり考える様にしているのだが、同時に疑問に思った事も疑問のままで終わらす事はせず納得するまで考えるように習慣付けていた。
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