第35話 悲しいものはやはり悲しい
言い争った所でこの様な類はそこに中身は無く疲れるだけだ。
「そうね、例えばですが……わたくしが家に帰ってあなたに叩かれた事を両親に伝えたらどうなるか、少しは考えなさい。 はたして、学園の外まで校則が通用するのかしら?」
わたくしがそう言うとシャルロッテの顔が見て分かるほどみるみる青ざめて行く。
冷静さを失い、考える事を辞め感情のまま行動に移した自分の行いの、事の重大さにやっとシャルロッテは理解したみたいである。
その姿を見てわたくしは、反面教師にし自分はシャルロッテの様なミスはしないと強く思う。
それこそ、シャルロッテの場合は最悪実家の家業を潰される程度なのだがわたくしの場合はそのまま死に直結するため尚の事強く。
「理解できたみたいで結構。 これから行動に起こす前にその行動の結果を考えてから行動しなさい。 それでは、ご機嫌よう。 ……行きますわよ、アンナ」
「はい、お嬢様」
そしてわたくしは未だに顔が青いままのシャルロッテを置き去りにしてこの場を去っていく。
◆
「だ、大丈夫ですかっ!? お嬢様っ!?」
「ええ、大丈夫ですわ。 安心したら足に力が入らなくてなっただけですので。 でも、気遣ってくれてありがとう」
林を抜け、そのまま人気の無い場所へ移動した所で安堵感から地面にへたり込んでしまう。
な、なんとかあの場を切り抜ける事が出来た。
あの場にレオとノア様がいる事に気付けた時はどうなるものかと思ったが何事も無くて本当に良かった。
元より友達になるつもりは無かったのだが、もしあの場でシャルロッテとわたくしが友達になったとしたら最悪殺されていたかもしれないと思うと遅れて恐怖心が襲って来る。
しかし、あれで隠れているつもりならばレオもノア様も滑稽もいい所である。
でも、もうあの場所は使えませんわね………。
たったそのぐらいの事で今から落ち込んでいてはこれから大変だと思うものの悲しいものはやはり悲しい。
「大丈夫ですお嬢様。 私達が、ブラックローズが付いております。 ブラックローズの新規メンバーも順調に育っております。 私達ブラックローズがお嬢様を命に代えてもお守り致します」
そんなわたくしを気遣ってかアンナが優しく寄り添い、壊れ物を触るかの様に抱いてくれる。
たったそれだけでわたくしは気持ちを持ち直す事が出来た。
「ありがとうアンナ。 凄く嬉しいわ。 でも、その気持ちだけ受け取っておくわね。いい事? わたくしよりも自分自身の命を大切にしなさい」
「はい、お嬢様」
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