第26話 ねぇ、教えて下さるかしら?

 そんなガマガエルに近づき、しゃがみ込むとわたくしはガマガエルの耳元で囁く。


「焦らすのが好きみたいでわたくしの純潔は助かりましたわ………楽に死ねるとは思わない事ね、ガマガエル」


 そしてガマガエルは絶望と恐怖、そして怒りに染まった表情で意識を手放すのであった。






「あら、お目覚めかしら? ガマガエル」

「フアケェんなアァっ! ……っ!? う、うまふ喋れはいっ? 貴様、毒ふぉ盛りやがっふぁなっ!?」


 万が一の為椅子に縛って座らせていたガマガエルが目覚め、その汚い顔と身体に似合う汚い喋り方を、唾を吐きながら叫ぶ。


「ふふふふっ」

「何がおかふぃいっ!! こんな事をしてただで済むと思っふぇいるのふぁっ!?」

「いやだって、このわたくしが毒などと言う証拠が残る物を使用する訳がないじゃないですか。 それが可笑しくて可笑しくて。 使ったのは一酸化炭素ですわよ。 でも教えたところで貴方には、いえこの世界の知識では理解すら出来ないでしょうね。知ってます? この空気という物は一種類で出来ているのでは無いんですのよ? そしてその比率を少し変えるだけで人間は簡単に死んでしまいますの。それこそ、助かったとしても今の貴方のように脳にダメージを負って何かしらの障害を残してしまうくらいには。 貴方は言語障害かしら? ですからわたくしは初めから結界魔術で新鮮な空気を確保していたのですわ。 これでも創り出すのに苦労したのですわよ?空気だけ遮断する結界魔法」


 そう言いながらケラケラと笑うとガマガエルはまるで化け物を見るかのように見つめて来る。


 その瞳は初めの様に怒りに満ちていた物とは違い今は恐怖と畏怖が代わりに満ちている。


「それと、貴方は『そんな事をしてただで済むと思っているのかっ!?』と仰っておりましたが、貴方はどうなんですか?この奴隷商売について清廉潔白な商売をしていると言えるのかしら? ねぇ、教えて下さるかしら? 貴女達」


 そしてわたくしはこの作戦の立役者でもある奴隷達を呼び寄せる。


 そのわたくしの奴隷達を、主にその中でも四人の奴隷を見てガマガエルは驚愕する。


「それがどうしファっ!? 奴隷は人間じゃないんだっ! なにふぉやっても俺の自由で俺の勝手であろうぉっ!!」

「うん、そうよねぇわたくしは貴方のその考えを尊重致しますわ」

「だ、だったらっ……ぐぁあぁぁぁぁああっ!?」


 ガマガエルの実に有り難いお言葉を聞きわたくしは手にしていたペン型に偽装された奴隷化器具をガマガエルの右腕に力の限りブチ刺す。




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