第22話 恋心を抱いている
「おいおい一体全体どうしたんだよそんな怖い顔して、ノア殿下よぉ………おおっとっ?」
そしてノア殿下はレオの側まで行くと座っているレオの胸ぐらを掴み力で無理矢理立たせる。
その事からノア殿下もまたレオに当たり負けしない程度の身体を、鍛えて作っている事が伺える。
「貴様っ、フランを突き飛ばした上にレオとシャルロッテとやらに近付くなと怒鳴ったらしいなっ!? お前には騎士としての心得というものが無いのかっ!?」
「出たよ、ノア殿下のフランが絡むと自分の感情を抑える事が出来なくなるヤツ。 そんなにフランの奴が好きなら好きだとその気持ちをさっさと伝えれば良いだろう? それに俺は間違った事はしたとは思っていねぇ。 お前はドミナリア家がどの様な家系か知らないからその様に頭の中がお花畑なんだよ」
「頭の中がお花畑なのはお前であろうっ! 新学期始まって間もないというのに既にシャルロッテとやらに熱を上げているらしいではないかっ!?」
もしこの場にフランがいれば自身が持っている前世の情報との乖離に、これからの行動を全て一から練り直さなければならなくなり頭を抱えていたであろう。
しかし、この光景をフランではなく『君恋』のファンが見ていたのなら別段驚くべき光景では無い。
というのもこの『君恋』のファンブックには個々キャラクターの裏設定が書かれているからである。
そしてその裏設定とフランの身に降りかかったイベントは繋がっている為、運命の矯正力などでは無い事が伺えてくる。
ドミナリア家の執事の裏設定はフランに愛するものを殺されて能力に目覚めた様な描写をされていたのだが実際は魔族と人族との混血種であり、自身に流れる魔族の血を嫌悪していたのだが怒りと悲しみで忌み嫌う能力を使う決心がついたというものである。
その為執事は初めから能力を扱う事が出来たという訳である。
次にレオ・クロスフィードの裏設定はシャルロッテに対して入学当初既に一目惚れしていたという事とドミナリア家が貴族至上主義であると確信を得ていたというものである。
そしてノア・ル・マルギスの裏設定なのだが、何を隠そうノア殿下はフランに恋心を抱いているという、当人であるフランが知ればはしたなくも絶叫してしまうレベルの内容であった。
しかし、だからこそゲームの数あるエンディングはフランの狂った価値観を知ったノア殿下により殺される死亡エンドが約半数もあるのである。
いうなれば好きの反対は嫌い、恋の反対は憎悪といった所であろう。
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