第2話 今までのわたくしはクズであった
そこに映っているのは今まで幾度となくやって来たゲーム『君に恋してしまったから仕方がない』の悪役令嬢、フラン・ヨハンナ・ドミナリアにそっくりの姿をしていたからである。
「ど、どうして……痛っ!?」
「ひいっ!? お許し下さいお許し下さいお許し下さいお許し下さいお許し下さい………っ」
そう思った瞬間、私の頭にフラン・ヨハンナ・ドミナリアとして今まで生きて来た記憶が津波のように雪崩れ込んでくる。
その情報量の多さに激しい頭痛を感じるのだが、そんな事よりも、思い出す記憶の数々がまるで本当の記憶であるかの如く鮮明に思い出していくのである。
それと同時に、今私の目の前で土下座をして必死に謝罪の言葉を口にしている者が、私の所有している奴隷である白狼族のウルである事は分かった。
そして余りの痛さと情報量の多さによって私は立つ事すら出来ない程体力を消耗してしまい、思わず膝をついてしまう。
そして感じる絨毯の柔らかさと、しっかりと糸で縫って作られている事が分かることから、この世界は夢でもゲームでもなく現実なのではないのか? という疑問が出てくる。
いや、現実なのだろう。
でなければ余りにも全てがリアルに出来過ぎている。
そう、
そして何故か前世の記憶を思い出したのだが、そのショックによりわたくしとしての記憶を一瞬喪失してしまったのだが、こうして思い出す事ができたという風に考えた方がしっくりくるし、実際そうなのだろうとしか思えない。
そう思い始め、この世界が現実であるという事を受け入れ始めると共にわたくしは徐々に冷や汗をかきはじめ、呼吸も荒くなってくる。
何を隠そうわたくしフラン・ヨハンナ・ドミナリアは、ゲーム内での結末は全て死亡エンドなのである。
どのようにプレイしても、何かいプレイしても、どのルートに行っても、フラン・ヨハンナ・ドミナリアは様々な方法でもって死亡エンドを迎えるのだ。
それこそ毒殺から刺殺、死刑に絞殺、撲殺にリンチなどなど様々である。
しかしながら、前世の記憶と価値観を得たからこそ分かる。
今までのわたくしはクズであったと。
殺されても仕方がないな、これは。 と思わず自分自身ですらそう思ってしまうくらいには自他共に認めるクズであったと言えよう。
しかしながら今は憑き物が落ちたかのように思考はクリアで、以前までのクズな価値観は綺麗さっぱり消え去り前世での価値観だけが残っている。
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