第15話 ちょうどいい塩梅

 バルバラは参加できない事が多かったが、カツヤ、ハーデス、ヘルセポネの三人で魔物を狩りに出かけた。盾師のハーデスが先頭で、剣士のカツヤが真ん中、最後に魔法使いのヘルセポネだ。道の広さや状況によってはカツヤがハーデスに並んで進むこともあった。

 少しずつ強い魔物に慣れるために、北の森の奥を目指した。カツヤがハーデスをフォローアップする事でいい塩梅あんばいで魔物に対峙たいじすることができるようになった。

 「本当にいい感じだよ。やはりどんなにハーデスが良い盾師でもひとりでは限界があるからね。カツヤもいい感じで魔物を押し返すんで、安心して魔法が打てるんだよ。」

 ヘルセポネは上機嫌じょうきげんだ。

 鬼門きもんの森を奥深く北上するようになって、魔物の強さも上がった。ハーデスはうまく盾で魔物を止めるが、複数襲いかかってくる時などはすべて止めることは不可能だ。場所にもよるが森の中の道ならカツヤが居れば後ろ行かせるような事にはほとんどならなかった。もっと魔物が強くなったらわからないが、カツヤはこれまでうまくやっていた。

 ヘルセポネのかみなり魔法は強力かつ範囲はんい攻撃が可能で、魔物を狩る効率は良かった。たおせなくても大きいダメージが入っていて、カツヤの一撃いちげきやハーデスの盾攻撃でトドメをすのも難しくなかった。

 「ふたりでってた時より倍、いやもっとたくさん狩れてるかも知れないな。」

 ハーデスとカツヤは倒したばかりの魔物の魔石を剥ぎ取っていた。魔物の種類によって買い取ってくれる値段は違うが、一日およそ金貨三枚ほどになった。普通の人の一日のかせぎが金貨一枚程度なので、悪くなかった。カツヤは急速に魔物の討伐に慣れていった。

 Cランクが冒険者の一人前と言われているが、カツヤは実力的には越えているだろう。経験と知識が足りていないだけだ。剣の腕前も最初から高かった。ロングソードの使い方と魔物の特性がある程度わかったら、ベテランように魔物を狩っている。

 元々の性格もあるのか、ハーデスとヘルセポネに合わせた動きができるので、連携もバッチリだった。

 「もうずっとパーティー組んでいたと錯覚するけど、まだ数回なんだよな。」

 ハーデスが言った。ヘルセポネもうなずいていた。

 「ふたりの時は連携れんけいとかじゃなくて、とにかくハーデスが止めて私が何とか魔法を当てるって感じで余裕がなかったけど、今は魔法をねらっててるんで最高さいこう!」

 ヘルセポネが言った。

 カツヤもふたりと魔物を狩るのはおもしろいし楽しかった。

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