第14話 魔法少女

 魔物の討伐は順調じゅんちょうだった。ほとんどの魔物が単独でおそいかかって来た。この前の倍近くは討伐できた気がする。切刃きりは打刃うちはもうまく使いわけれていた。

 とりあえず満足まんぞくというか、一区切ひとくぎりついたので、ハーデスの方を見た。

 「一旦いったん休憩きゅうけいにしよう。」

 ハーデスが言った。

 「ちょっと休んでから、しばらく僕らでってくよ。どんな風にやるのか見てくれ。」

 普段ふだんふたりで討伐とうばつしているらしい。ここから北に向かうと魔物が強くなっていくが、今日はまだ慣熟かんじゅくが目的なので東に行って今くらいの強さの魔物を狩るようだ。

 ヘルセポネは魔法使いって言ってたけど、どうな感じなのだろうか。


 休憩を終えて、ハーデス、ヘルセポネ、カツヤの順番で進んだ。歩きながらヘルセポネが魔法について教えてくれた。

 魔法には、火水風土の基本的四属性があり、人は皆だいたい一つか二つくらいの適正属性を持っている。適正属性を持っているからといって誰でも魔法使いになれるわけではなく、魔力量が少なくて簡単な魔法しか使えなかったり、戦闘に使えるような魔法は覚醒しないと使えるようにならない。覚醒も素質がないと出来ないそうで、いっぱしの魔法使いにはなかなかなれないらしい。魔法を使えるのが百人にひとり、覚醒で出来るのはさらにそのうちの百人にひとりとのこと。

 「ウォーター!」

 ハーデスがとなえると水が手から出て驚いた。

 「俺もこのくらいは使えるんだな。一日数回しか使えないけど、水筒持ち歩かなくていいんで便利べんりだよ。」

 原理げんりがまったくわからないが不思議なものだ。

 「じゃじゃーん。私はなんとレアなかみなり属性が使えます!」

 ヘルセポネが半身でカツヤに向かってドヤった。

 「へぇ~すごいねぇ。」

 カツヤ自身も驚くぼどに大きな声が出た。

 「カツヤ、意味わかってないだろ!」

 ハーデスが冷静につっこむ。

 「いや、意味はわかんないけど何かすごそうだよ。」

 カツヤは楽しくなって笑いながら言った。

 風属性の上位にあたるのが雷属性で、雷を魔法で発生させて攻撃できる。物理防御が効かなくて射出速度しゃしゅつそくどが速いのでけるのも難しい。与えるダメージも大きく、どんな魔物にも相性がよく狩りに向いている魔法だ。

 ハーデスが盾で魔物を弾く音が合図のように、ヘルセポネがつぶやきながら、スティックを前方に突き出した。

 「サンダーフラッシュ」

 詠唱えいしょうと共に閃光せんこうが発生し、ハーデスの盾に弾かれた狼のような魔物に一直線に走った。炸裂さくれつ音と同時に魔物はバウンドして倒れた。

 「これくらいのランクの魔物なら一発よ。」

 ヘルセポネはピースサインでカツヤに言った。

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