第8話 パーティーパーティー

 教会の応接室に戻るとそこに男女二人が待っていた。

 バルバラが二人に紹介してくれた。

 「カツヤです。」

 「冒険者で盾師たてしハーデス、こっちが相棒の魔術師ヘルセポネだ。」

冒険者っていうのは魔物を狩ったり、荒事で生計立てている職業の人をいうらしい。盾師ってのは盾を使って戦う人のことなんだろうけど、魔術師ってのはなんだろう。

 「攻撃魔法が使える人のことを魔術師っていいます。」

 バルバラが教えてくれた。

 「バルバラも魔法が使えるの?」

 「私は攻撃魔法は使えませんが回復魔法が使えます。」

 「魔力ゼロってことは魔法使えないってことだよね。」

 「おそらくそういうことかと思います。でも魔力を持っているのは100人にひとりで、さらに魔法が使えるのはその中のごく一部と言われています。」

 「魔法を使える人は貴重なんだね。」


 それから四人で北東にある鬼門きもんの森に魔物を狩りに行くことになった。森の浅いところには弱い魔物しかいないが、奥に行くほど強い魔物がいるらしい。

 街は高く厚い城壁に囲まれていて、外には衛兵のいる門から出入りでいりするようだ。

 バルバラたちは衛兵に会釈えしゃくして門をくぐった。カツヤも真似まねして会釈した。

 街から出るのはノーチェックのようだが、街に入る方は長蛇ちょうだの列ができていた。門の脇に関所のような小屋があり、衛兵が入場審査をしているようだ。

 少し殺風景な草原を東に向かって街道が真っ直ぐ伸びている。主要街道なのか大きな荷車でも楽にすれ違えるくらいだ。北へは狭い道が森の中へ続いていた。

 いつの間にか、先頭を歩いていたバルバラが最後尾になり、ハーデスに入れ替わっていた。

 「勇者様はどんなとこに住んでいたんだ?」

 ハーデスが話しかけてきた。

 「私もすっごく興味あるわ~」

 ヘルセポネも話しに入ってきた。

 「ここよりもっと人が少なくて田舎だったよ。それまでは知らなかったけど、イルバニア王国と比べると貧しいのかもしれない。」

 今までは比較対象がなかったから貧しいとは思っていなかった。江戸とかに住んでいたらまた違う感じ方をしたのかもしれない。飢えではなく文化的な貧しさというのが世の中にはあことを知った。カツヤが単に田舎者なだけかも知れないかもだが。

 「黒髪は珍しいのかい?」

 カツヤは疑問に思ったことを聞いてみた。

 「あんまりいないかもね。」

 ハーデスが答えた時、木の陰から猿のような大きさの緑色の何かがカツヤに向かって襲いかかってきた。

 

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