第7話 教皇より聖女です

 「勇者様、教会でシスターをしておりますバルバラと申します。」

 老人の教皇に代わって現れたのはさっきの金髪の女の子だった。

 カツヤは時間が止まったかと思った。その中で心臓だけがドクドクと大きく鼓動していた。詳しくはわからないが海外には美の女神がいるらしいが彼女がその女神でないのなら誰がそうだというのか。

 「・・・カツヤと申します。」

 数秒の後、カツヤは挨拶を返した。

 「勇者様にはお願いがございまして、その内容を説明をさせてください。」

 「わかりました。」

 「現在イルバニア王国は魔物の増加に悩まされていて、今後さらに魔物は活発化し、三年後には魔王が誕生すると言われています。その魔王に対抗するためにデルメル様から神託があり、勇者様を召喚する方法を教えて頂きました。私は勇者様を助ける役割を仰せつかってますので何なりとお申し付け下さい。」

 「シスターとは何ですか。」

 カツヤは聞き慣れない言葉が多すぎて、ほとんど内容が理解できなかった。

 「シスターとはデルメル様にお仕えして、皆さんの信仰の手助けをする仕事です。」

 神社でいうところの巫女みたいなものらしい。

 魔王とは魔物の王のことだろうか。魔物はあやかしみたいなものだとしても、そういった者達が連携するようには思えないが、よくわからない。

「魔王を倒すのが私の使命なのですか。」

「はい。私もサポートさせて頂きますのでよろしくお願いします。」

 色々納得や理解できないことも多いが、やるしかないようだ。

 先ほどの部屋に戻って今夜は休んで、翌日から活動することになった。


 翌日、バルバラが迎えに来て街に出かけることになった。

「まず、武器屋に行って装備を整えたいと思います。」

 デルメルの教会は街の中心部の大通りにあり、近くにたくさんの店がならんでいた。武器屋はすぐそこにあった。

 日本刀のような軽量で切れ味を重視した剣はなかったが、ロングソードがいい具合に振れそうな気がする。そもそもカツヤは真剣で立ち会ったことはなく、木刀とかの打撃でダメージを与える剣術の方が得意かもしれない。

 装飾のほとんどないシンプルなロングソードと皮の冒険者用の装備一式を手に入れた。

  魔物というあやかしと民衆のために戦う、突然の使命に心躍らせ、カツヤの頭には家族のことも故郷のことも一切なかった。

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