第9話 初めての経験値
襲いかかってきた緑色の生き物に身構えたが
とっさに反応して剣を抜き、前進しながら
「やるじゃん。」
「ヒュ~」
ハーデスとヘルセポネが
カツヤ自身も驚いた。生き物に剣を振るったのは初めての経験だった。
「めずしいですね。この辺りに魔物が出てくることはほとんどないのですが・・・」
バルバラが不思議そうに首をかしげて言った。
「まあ、めずらしいけどないことじゃないよ。」
ハーデスは緑色の魔物の心臓の辺りにナイフを差し込んで半透明の石を取り出し、カツヤに投げてよこした。
「これは?」
「えっ、魔石もわかんないの?!」
ハーデスは驚いて言った。
「魔物どころか生き物を
ここに召喚されてから別人になったような感覚がある。平凡な日常から急激に変化した環境が関係しているのかも知れないが、それだけでもないような気もする。
「ハーデスは猟師なのかい?」
日本には盾を持って武装した人なんていないからな。カツヤが考えつくのは、魔物を狩る猟師みたいな職業があるのかと思った。
「えっ、冒険者に決まってんじゃん。」
ハーデスは驚いて答えた。
「そんな職業は日本にないから・・」
非常識みたいに驚かれても反応に困る。
「ヘルセポネとパーティーを組んで冒険者やってるんだ。」
ハーデスがヘルセポネを親指で指しながら言った。ヘルセポネはピースサインで微笑んだ。
冒険者は危険が多かったりもするが
カツヤも武道家として剣で生きて行くみたいな妄想をしないわけではなかったが、地主の家に生まれたカツヤは
イルバニア王国に召喚されたカツヤは平凡な人生から脱却できたと考えれば幸運でしかなかった。
バルバラが水筒を出して、お茶をカツヤにくれた。初めて飲む味で何かわからないがさっぱりしていておいしかった。
「この辺りから魔物が出現すると思いますが、比較的強くない種ですのでまずは慣れるために討伐をお願いします。ハーデスさんとヘルセポネさんもいっしゃいますから安心して良いです。万が一ケガされても回復できますのでお任せ下さい。」
バルバラはやさしい口調で言った。カツヤは恥ずかしくて、バルバラを直視できなかった。村にも町にもこれほど美しい女性は居なかったし、日本人の美的感覚とは違うものだった。カツヤ自身もまったく女性なれしていなかったし、照れ屋であることを初体験していた。
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