第15話 北国行き
その日の朝早く、郊外の天山市から流石は東京駅に出てきていた。結局会長は現金を持ったまま見事に雲隠れ、仕方なく、地元の操作は柴田たちに任せ、流石が手掛かりを求めて、大山会長の本籍地に出向くことになったのだ。
大山会長に脅されていたという灰田社長は深く反省していると認められ、仮釈放された。
そして灰田はピンチになった会社のため、資金集めに奔走していた。菊川も以前のように灰田と親しく口を利くこともなかったが、半分義務感で会社の立て直しに力を注いでいた。詐欺師たちはなぜか今もってだれも組織の子とは完全黙秘で、捜査はこう着状態が続いていた。
だが一つだけ成果が上がったのは、今詐欺師に狙われようとしていた個人情報夕室のターゲットにされていた人たちだった。まだ詐欺師たちに目を付けられる前の人々、もしくは騙されたのをきづかない人たち、もしくはあと一息で致命傷となる直前の人たちが、毒牙からかろうじて助かった。
ネットマネーシステムは他社との新しい契約に順次組み替えられ、猛スピードで修正されていった。
撮りこめ詐欺Gメンの京極さんは、詐欺に関する新しい情報を持ってきてくれて、昨日も打ち合わせをした。もしかしたら表に出ないが、潜在的な被害者はかなり大勢いて、それが、銀行側から解明できるかもしれないというのだ。流石が明日から北国行だというと、あわててその予定をメモに書き、協力を惜しまないと約束してくれた。
東京に着くと、流石は少し早く突きすぎたので、近くのベンチに座って、スマフォで目的地の山形のおいしいものの検索をはじめた。
「ううん、山形は火ともあったかそうだし、おいしいものがたくさんありそうね。ええ!蕎麦街道、す、すごいボリュームじゃ。いや、私なら絶対に残さないでくいつくしてやる。あれ?ラーメンもウマイだって?ちょっとまって、夏から秋は、絶対フルーツ狙いがはずせないわね。」
そのとき、近くのホームで新幹線の発車のベルが鳴った。
「あれ、激ヤバ!確か、いいえ、まちがいなく、あのホームだわ。」
まだ時間があったはずだが、遅刻の常習犯である流石は走り出した。いつも天然だが、いざという時の怒涛の実行力は計り知れない。あっと言う間にホームからホームへと昇って、降りて、ドアの中に滑り込んでいく。流石だ。
大山会長の残された潜伏先はあと一つだけ。山形県の山村だった。これが本籍地だというのだが、名前も大川と書かれていてなんとも怪しい。大山の方が架空の名前なのだろうか。
どこかに大きな見落としがあるかもしれない。それを確かめようと、流石は山形県の管轄の警察署と連絡を取り、一人、朝早く新幹線に乗ったのだ。
「まったく、もう少しで乗り遅れるところだったわ。ええっと指定席の券はどこだっけ。あ、あったわ。さすが私ね。」
ところが車両から車両へと歩きつなぎ、自分の指定券の場所に行くとどうだろう。それほど車両は、込んでいないのに、若いサラリーマン風のグループがそのあたりを占領している。
「あれ、すいません、場所がわからなくなっちゃったんですけれど、皆さんの券をちょっと見させてもらえますか?」
すると、若いサラリーマンたちは素直に券を見せてくれた。
「やべ…。」
自分と同じ座席番号の券をもっている男がいて、もちろんその席に座っている。こんな時は、たいてい自分の方に非があることが99パーセントなので、流石はその場所をそーっと離れた。
そして、誰も座っていない席を見つけて、しばらく座って考えた。そしてさっき売店で買ったシューマイ弁当をぺろりと平らげると、いつしかうとうと寝てしまった。
「あれ。」
気が付くと、新幹線はどこか大きな駅に着き、たくさんの乗客が乗り込んで来た。さっと立ち上がり、逃げる流石。案の定、席はほとんど埋まり、座る場所はなくなってしまった。やはり根本的に解決せねば…。
そこに車内販売のお姉さんが自動ドアを開けて入ってきた。流石は、お姉さんにそっと、同じ指定席の券を持っている人がいると相談した。するとお姉さんは、少しも表情を変えずアドバイスしてくれた。
「そのようなことはありえません、前の車両に行って、車掌に聞いてください。」
流石は最もだという顔をつくろって、先の車両へと進んでいった。自分の失敗なのか、あのサラリーマンの嘘なのか、いいや、きっとこれは鉄道会社のダブルブッキングだ。きっと層に違いない。でも自分の過去の行いから推定して、強気に出るとほとんどの場合、大失敗して来たという歴史があるので、あくまで遠慮気味だ。おっと車掌発見。
「すいません。実は…。」
しかしさすがはプロの車掌だ。流石の指定券を見るなりすぐに指摘した。
「お客さん、電車を一本早く乗りましたね。これは次の山形方面の新幹線の指定席券ですよ。」
よかった、強気に出なくて、流石私だわ。でも日頃からこんなことはしょっちゅうなので、流石は全く落ち着いたものだ。
「やっちまった…。それで、車掌さん、席が無いんですけれどどうしたらいいですか?」
「しかたないですね。次の駅で降りて、とりあえず正しい新幹線にご乗車し直してください。それからあなたの席を探してください。」
車掌さんは丁寧に教えてくれた。またやっちまった。いくら何でも電車ごと乗り違えたら、そりゃあ、席もかち合うわ…。とりあえず、次の駅で降りて乗り換えようとしたその時だった…。
「あれ?」
途中の座席に思い出せないが見たことのある人が座っていたのだ。しかもすれ違う瞬間おかしな単語を口づさんでいた。
「カソウニンゲン…。」
いったいなんだ?誰だっけ。
さらに、一度ホームに降りて、窓に近づいてみる。ああ、さっきの男だ。
「え、まさか…Gメン京極さん?」
間違いなかった。さっき社内ではメガネをとっていたのだ。今は、スーツ姿に黒縁メガネの、あの銀行員にまちがいなかった。
Gメン京極はタブレットでどこかの地図を呼び出し、それに目を通していた。なぜ、京極がここに。なぜ自分より一本速い、しかも行き先が同じ列車に乗っているのだ。
「他人の空似かなあ…。」
流石はホームの端に歩くと、Gメン京極の銀行に電話した。
「はい天山信用金庫です。どなたをお呼びですか。」
「…すみません、取りこめ詐欺gメンの京極さんをお願いします。」
「はい、少しお待ちください。」
何だ、やっぱり、本物の京極さんは銀行にいるのか、でも、よく似た人だなあ…。だが、次の瞬間、流石は信じられない光景を目のあたりにする。
「はい、もしもし、京極です、ああ、刑事さん、今頃新幹線ですか?仕事とはいえいいなあ、私も山形にいってみたいなあ。。こっちは、貧乏暇なしで、いやあ忙しくって。何ならかけ直しますが、よろしいですか。」
「いいえ、また明日にでも連絡します。急ぐ用事ではないので…。ではまた。」
柱の影からそっと窓際の黒縁メガネの男を見ていて鳥肌が立った。京極の会話の通りに、口が動き、携帯を操作しているのだ。最後も流石との通話が終わるとともにスイッチを切った。
「…なんで私より一本先の列車に、同じ行先の列車にGメンの京極さんが載っているの?しかも、明らかに私たちを騙して、嘘をついて…。」
電話を早く終わらせようとしたのは、車内だからだろう。しばらくしてやってきた、本当の乗るべき新幹線に乗る。もちろん席はちゃんと空いていた。
「うん、今新幹線のデッキに出たんだけど…。」
なぜ、Gメン京極があそこにいたのか、目的はなんだったのか流石はわからないまでも柴田と丸亀に報告した。そしていくつか調べてもらいたいことを頼んで、座席に戻った。
座席で売り子のお姉さんからもう一人前焼肉弁当を買って食べると、今度は、ミックスナッツをかじりながら物思いにふけった。どうにもつながらない。一体何が起ころうとしているのか?それと、あのメガネを取った顔になぜか見覚えがあるのだ…。
「あの顔はまさか…?と、いうことはつまり…。」
流石は記憶の糸をたどって、ある真実に行き着く…そして唖然としてしばらく頭の中を整理した。
「だとしたら…ちっきしょう!」
そしてものすごい勢いでミックスナッツをバリバリ食い始めた。完全なはずの犯人の歯車が狂い始めていた。
その日、森口レイはライブに出かけた杉崎智也の部屋の掃除をしていた。まだ同棲しているわけではなかったが、必要に応じて頻繁に合鍵で出入りしていた。今一歩踏み込めないのは、彼が貧乏なミュージシャンだからではなく、不透明な闇の仕事に手を染めていたからだ。結局、この間も、組織から手を引くことはできなかった。またもう一度だけと言われて、小金でもつかまされたんだろう。でも、そんな杉崎でも、レイは離れられなかった。彼の歌が好きだし、時折見せてくれる優しさがたまらなかった。
だから、今日は覚悟を決めて、この部屋にやってきた。
あの夜、急に呼び出された智也は、なぜか餃子のストラップを取り出して出かけて行った。最初は何のことだかわからなかったが。ふと思いついた。あれこそが偽装したメモリーか何かではなかったか。そういえば、机の中に何種類かのストラップが入っていたのを見たことがあった気がした。森口レイは、ざっと掃除を済ませると、机の二番目の引き出しを開けてみた。そこには5種類ほどのストラップが置いてあった。しかも全部食品のサンプルのストラップだった。
「たぶん、この餃子が中華、この親子丼は和食、オムライスが洋食、ピザがイタリアンハンバーガーがアメリカンかなあ…。」
指紋が付かないように手袋をはめて触ってみる。やはりそうだった、食品サンプルはどれも二つに割れ、中からフラッシュメモリが出てきた。運ぶファイルの種類や宛先によって、使い分けているのだろうか。これでは普通に調べてもまず、発見されない。智也の部屋のパソコンでさっそく中を覗いてみる。
「な、なんてことなの?」
それは最終始末人と呼ばれる、京極という名の詐欺師の記録とある計画についての報告だった。なぜ、このファイルが一つだけ残されているかというと、まだその計画が実行中で結果が出ていないかららしい。
京極がなぜ最終始末人と呼ばれるのか?それは、一度ほかの詐欺にかかった被害者を相手にして、最後まで絞りとる詐欺師だからだった。
星占いに足を突っ込み、心霊占い師から何十万もの高いミネラルウォーターを買い続けた女子大生、結婚詐欺に遭い、新居の頭金だという名目で数百万の現金を取られたOLの二つの例がまず書かれていた。
この二人は大きな被害にあったが、さらにうんが悪かったのは、裕福な家庭の出身で、口座にまだかなりの金額が残されていた点だ。本部からもっと搾り取れと言う連絡がでて、この京極と言う最終始末人の番となるのだ。
「あなたの盗まれた現金を可能な限り取り返します。」
京極は例の取りこめ詐欺gメンとして被害者に近づく。
そして、細かいところまで被害者の話を聞き、親身になって解決に取りくむ。そして、被害額の半分以上をとりあえず取り返したと報告する。それは、京極の自己資金を借りに振り込んだだけだが、被害者は大喜び。
「あと半分も何とか取り返せると思います。ただ、そのためには今までの口座に入れておくと、また狙われることがあるので、違う銀行の新しい講座を作って、全部そちらに移しておくべきです。」
そう言って、言葉巧みに新しい講座を作らせるのだ。そして、古い講座の残高を一度すべて現金化させる。
そして、新しい口座に振り込む前にその現金を誰か第三者の犯行に見せかけて奪ってしまうのである。
女子大生の時は、最初から現金を抜いた空の袋を私ておく。それから架空の置き引き事件をお越し、気が付けば、自分の不注意に見せかけて現金は消えている。OLの場合は、現金をおろした後、偽の銀行員を装った仲間に運ばせた。銀行員は彼女から手渡しで現金を受け取り、そのままどこかにい消え去った。。そして、彼女たちが絶望のどん底に落ちたころにこういうメールをおくるのである。
…そろそろあたらしい講座はできましたか。きっとうまくいったことでしょう。これからは詐欺に引っかからないようにしてくださいね。まずはおめでとう。…
結局京極は恩人のまま事件は終わった。被害者は二人とも、自分の過失もあって、現金が盗まれたと責任を感じ、追い詰められ、そして最後には、自ら命を断った。
京極は、そうやって相手の上体を見ながら、一番の味方のように近付き、懐に入り込んでから取り返しのつかない事件を起こして、相手をしゃぶりつくすのである。今回は、白峰刑事に近付き、うまく取り入って、最後に辞職に追い込むという悪夢のようなストーリーが事細かく記されていた。しかも今まで4人の詐欺師が失敗しているので、五番目のこの男は、最初の策がダメでも二つ目三つ目の策で追い詰めるという用意周到な作戦を練り上げていた。、しかも最終的には身の毛もよだつ、凶悪な計画だった。
「なんて、ひどいことを…。それが淡々と記録として綴られている…。あ、白峰刑事が危ない…なんとかしなきゃ…。」
だが、その時、玄関の方で何か音が下。振り向くとそこにギターを背負った杉崎智也が立っていた。
「レイ、おまえ…、おまえいったい何をしてるんだ!」
その頃、かしまし商店街のあの、三ツ星会館に商店街のみんなが集まり始めていた。
「よお、マスター、今日は何台。?」
魚屋の銀さんの質問にキッチン花一のマスターが、ざっと説明した。
「へえ、そりゃすごい。実現したら夢のようだな。うまくいくといいけどな。」
いい加減な夢物語化、それとも確実な計画なのか、ともかく話を聞いてみようということになった。少しすると、そこによく見た顔のお客がやってきた。
「ありゃ、なにか作り物かと思っていたが、いやあ、本当に遠くからでは見分けが…。」
「これ、ガンさん、失礼だぞ。ええと、一郎さんから五郎さんまで、よくこんなところまでお越しいただいてありがとうございます。」
肉屋連合の5人ニクレンジャー親父が、そろって挨拶をする。その後ろからは、知的なあの曽根崎の親友、カレーソサエティの加藤も、姿を現した。
「これは、これはカレーの加藤さんまでどうぞこちらへ。」
駄菓子屋のおばあちゃんから、コロンチのおばちゃん、豆ちゃんの竜さん、銀さん、ガン三、本屋の若旦那、恵みさんや、餃子の山ちゃんもいる。みんなにかこまれて、肉屋の一郎さんが汗を拭き拭き、話しはじめた。
「もう受賞してから時間が経っているのに、まだグランプリの実感がないんです。それは、やはりどの団体も素晴らしく、レベルが高かったからです。今のままではミートフォースとニクレンジャーが総合優勝ということで、天山市の代表と言うことになるのですが、現にゆるキャラのナンバー1はかしまし産のとこだし、ベストグルメは、加藤さんのとこでしょ。しかも、ここには魔法のソースまである。もう揚げたらきりがない。これをこのまま埋もれさせてしまうのは、本当にもったいないと思うんです。」
そういわれれば、かしまし商店街のエコつまさんも、大会がを割ってから、二階に運ばれたまま活躍の機会がない。
「それと、舞台の裏でいろいろ見ていて、みんないい人ばかりだって感激しました。こんな人情に篤くて、頑張っている人たちとだったら、一緒に何かをやっていけるんじゃないかってね。」
すると本屋の若旦那が丁寧にお礼を言った。
「それは、こちらの言葉です。わたし、ゆるキャラのエコつまさんに入っていたんですけれど、あの強風に飛ばされた時、正直大けがするところだったんです。それを自分たちのことも顧みず、みんなで私を受け止めてくれた。文字通り命拾いしました。この人たちだったら、いざという時も一緒にのりきれるだろうってね。」
そうだ、あの時ニクレンジャーが率先して声をかけ力を合わせて、エコつまさんを助けてくれたんだ。
「…そこでみんなと一緒にやりたいという、気持ちを、どうしていったらいいのか?そういうことが得意そうな加藤さんに相談してみたんですよ。」
すると加藤がイメージイラストを描いた何枚かの資料を取り出した。
「お話を聞いてね、私も同じでした。それで提案したんです。天山市の特産物をそろえた、アンテナショップを創ったらどう勝手ね、すぐ、賛成していただけました。そこで、まず場所をあちこちみてまわり、それから市からの強力は得られないかと実行委員長だった観光課の桜島さんに企画書を持って行き、そして、実際にこうやって、各団体をまわり協力をもらっているんです。でも、審査委員長の曽根崎に聞いたんですが、かしまし商店街は、優勝したらこの三ツ星会館を市から譲り受け、ここをそれこそ特産品売り場にする予定だったというじゃありませんか。そりゃあ、ちょうどいいなと思ったんです。ええ、市の方の担当の桜島さんの全面協力の約束を頂きました。」
「ええ、するってえと!」
さすが、加藤、仕事が早い。そのあと、こまかいところまで加藤の説明が行われると、それを聞いていたかしまし諸王天蓋のみんなの顔はどんどん明るくなっていった。駄菓子屋のおばあちゃんがしみじみと言った。
「なんだかあの文さんが三ツ星ストアをはじめたころを思い出すようだよ。」
もちろん実現までにはいろいろな障害がいくつもあるだろう、でも仲間と一緒なら、やっていけそうな気がしてくる。
ところがその時、あのボランティアのパトロールをやっていた青少年育成連絡会の梶原さんが少しあわてて通りがかった。目のちっこい梶原さんがおびえると、本当にカピバラみたいだった。
「あれ、どうしました梶原さん。」
「いやあね…。」
梶原さんの話では、今この三ツ星会館に入ろうとしたら、黒い帽子の若い男が中をのぞいていたのだという。
「私が近付いたら、そそくさと離れて行きましてね。何でもないといいんですけれど。」
ガンさんとマスターが一瞬視線を合わせ、さっと外に出て人影を負った。事件はまだ終わっていなかった。
次の日の午後、流石は山形から天山署にまっすぐ変えてきた。
「どうでしたか山形は、お疲れ様でした。」
柴田がさっと飛び出してくる。
「やっと本籍地に着いたらさら地になっているし、誰に聞いても何もわからない。わずかに残っていた手掛かりや情報も、何者かによってすべて消されてしまったみたいね。完璧な仕事だわ。あ、これ、山形の農園で買ってきたもぎたてフルーツてんこもりセットよ。捜査はうまく行かなかったけど、無効の人はいい人ばかりで食べ物うまい誌、最高ね。あとでみんなで食べましょう。」
丸亀がにこにこしてお土産を受け取る。そして流石は立ち上がった。
「いよいよ、勝負に出るわ。行きの新幹線でついに奴らの尻尾をつかんだ。あとは裏をきっちり取って素早く行動するしかないわ。」
柴田がさっそく報告に入る。
「驚きましたね。教えてもらった電話番号から、すぐに洗い出しました。Gメン京極はレンタル事務所を借りていて、数種類の偽名を使い、いろいろな犯罪にかかわっていたようです。その正体も先輩のにらんだ通りでした。」
「じゃあ、やっぱり、霊の写真と一致していたのね。」
「まちがいありませんね。そして、丸さんが、当時の資料をかき集め、現在の写真と合わせたところやつらの人相と、ほぼ一致しました。しかもあの詐欺師たちも中にいましたよ。」
すると、丸さんが写真などの資料を取り出した。
「まさかと思いましたが白峰刑事の言いう通りに資料を整理したら、謎の組織、ブラッククラウドのやり方がだんだんわかってきました。あとは、物的証拠をつかむ段階ですね。」
「ありがとう、柴田、丸さん。でも私がここに目を付けたのも、いつばれるかわからない、ずるがしこい奴らだから、速攻あらゆる手を打ってくるわ。その前にこちらも全力で仕掛けておかないと。こうなったら、スピード勝負ね。すぐ、二か所に連絡を取るわ。あ、それから、こっちが証拠や重要な事実を手に入れたって、絶対奴らに気付かれないように。まだこっちは何もつかんじゃいない、こう着状態だと思わせておかないとだめよ。柴田と丸さんは例の機材をどうしたらよいか、作戦立ててくれる?大至急、お願い。」
だが、丸さんはまだ言いたいことがあるようだった。
「白峰君、済まない。こんな時だが、例の特別警備の命令が君に出た。明後日の早朝から数日間の予定だ。すまん。」
「ええええ、明後日の早朝ですって!でもしょうがない、それまでに片を付けるしかないチーム白峰は、いよいよ勝負に出る。ギリギリのスピード勝負だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます