第7話 イケコンエントリー
「ね、ね、小次郎はイケコン出るよね? 去年は3位だったじゃん。今年は優勝狙っちゃいなよ~」
「去年も一昨年も、お前に強引に出場させられたんだろうが」
「じゃあ、今年も強引に誘うからよろしく」
「やめろ」
「やめないよ~」
「おい、家はこっちじゃないだろ」
「今日は不思議レストランで夕食にしよう。ビオラには、もう言ってあるから」
「そうか、分かった」
不思議レストランは、この国で一番のレストランだ。店長のフシギさんの作る料理は、ほっぺたが落ちるほど美味しいと評判だ。
「フシギさん、来たよ~」
「ルビー、いらっしゃい。小次郎は職場体験ぶりだね」
「こんばんは」
「私ハンバーグね」
ルビーはテーブルに着くなり注文をする。
「俺は鯖定食で」
「おう。分かったぜ」
注文を受け取ったのはフシギの弟のバジルだ。
キッチンからは美味しそうな匂いが絶えず漂っている。
店長兼コック長のフシギを手伝うのは息子のパセリだ。パセリはクォーツ学園4年生で、ルビーの後輩に当たる。
「はい、おまちどおさま」
「わ~、美味しそう!」
「いただきます」
「そういえば、フシギさんもイケコン出るよね?」
「ああ、今年こそは劉備にリベンジしてやる!」
去年、フシギは2位、優勝は劉備だった。
「頑張ってね~」
次の日。
特訓後、劉備からイケコンのエントリーシートを受け取る。
劉備はエメラルドからの命令でイケコンに出るように言われている。普段はクールだが、競技になると真剣になる。
生徒会室。
「エントリーシート集まって来たね~」とメープルは言う。
「そうだね。常連は今回も劉備打倒に燃えてるんだろうなあ」
劉備は優勝回数がぶっちぎりで多い。
「新しく出場するのはジョセフ君と、黒豆さん? 知ってる?」
「最近、引っ越してきた人だよ。ちょっと見た目が悪っぽいけど、喋ると面白い人だったよ」
クォーツアイランドには新しく入って来た者が、国王であるエメラルドとルビーに挨拶をするという儀式がある。だからルビーは住民皆の顔と名前を覚えているのだ。
「あ~、イケコン楽しみだなあ」
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