第44話 1か所目4

1か所目から問題がなかったとは言えないが、無事に1か所目の目的地である山上神社に到着した。

「さて、とりあえずお参りしようか。」

「ああ、そうだな。」

というわけで、とりあえずお参りをした。

「しっかし、まったく人がいないなぁ。」

「そうだね。」

ふらふらと神社の境内を散策してみたが全く人の気配が感じられない。それどころか、落ち葉や木の枝が散乱していたり、ベンチの下にハチの巣がついていたりと、長いこと人の手が入っていないのだと思われる。

「ここは、あのおじいちゃん先生が言っていた神社なんだよね。」

「そのはずだよ。」

佐々木さんに聞かれて答えはしたものの全くその面影は感じることができない。そのおじいちゃん先生(中野教授82歳)が言うには休みの日には多くの人が来ていて、屋台も出ていたらしい。さらにお祭りの際には境内を埋め尽くすほどの人が訪れたらしい。だけれども今では人は僕たち以外におらず、時折鳥の声が聞こえてくるほどに静かだ。

「翔真、ここはもういい?」

佐々木さんと並んで神社を眺めていると遼太が声をかけてきた。

「いいよ!次に行く?」

「そうしようか!まだまだ回る場所はあるしね。」

そういうわけで慎重に注意しながら階段を下りて駐車場へと戻った。

余談だが、もともとは僕と佐々木さん、山本さんが登って来た道が昔からの参道らしい。しかし、大雨の影響により道が崩れたことなどから、新たな参道が作られたそうだ。それが帰りに通った階段らしい。佐々木さんと山本さんが通るのに苦戦していた段差は道が崩れた時のあとらしく、昔はもっと通りやすかったと後日、中野教授と雑談しているときに言われた。

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