第43話 1か所目3
~山本梨花side~
優花ちゃんが迷ったかもしれない。と思い周囲を注意しながら登り始めて10分が経過した。しかし、まだ私と由香ちゃん、田口さんは目的地である神社に到着していない。そして、優花ちゃんも発見できていない。
現在、私は田口さんに手当をしてもらっている。そして、すぐ横で由香ちゃんがすごく私に謝ってきている。
なぜ、こんな状況になっているのかというと、優花ちゃんを見つけようと2人揃ってキョロキョロとしていると、2人揃って足元への注意がおろそかになってしまい、そのまま木の根っこに足が引っ掛かって2人で折り重なるように転んだ。その時に下敷きになった私は膝と肘を擦りむいた。
「終わったよ。佐々木さんは大丈夫?」
田口さんは私の怪我の処置を終えるとすぐに私の横で謝っている由香ちゃんに声をかけた。
「大丈夫です。」
「そう。もし、あとから痛くなったりしたら声をかけてね。念のために応急処置のための道具は一通り持ってきているから。」
田口さんはとてもやさしい声で言った。
「さて、山本さん歩ける?」
田口さんは私の顔を覗き込みながら聞いてきた。
「あ、はい。」
私はそう言いながら立ち上がった。
立ち上がった私が転ぶ心配をしたのか私の前で両手を広げて立っていた。
「ほら、大丈夫です。」
そう言うと田口さんは少し心配した顔をしながらも、私の顔を見ると頷いて
「それじゃあ、動き出そうか!」
と言った。
「「はい!」」
私たちは再び動き始めた。
田口さんは私たちのことを心配しているようで、さっきよりも歩くペースを落として、さらに振り返る頻度が増えた。
私と由香ちゃんは顔を見合わせて笑みを浮かべながら田口さんの背を追いかけた。
しばらくすると、神社の屋根が見えてきた。
「あれかな?」
田口さんは屋根を指さしながら私たちの方を見て聞いてきた。
「多分、そうだと思います。」
少し息切れしている私に代わって由香ちゃんが答えてくれた。
そんなやり取りをしていると登山口の出口から佐藤さんと野口さん、優花ちゃんがこちらを見ていた。
「お~い!大丈夫か?」
佐藤さんが手を大きく振ってこちらに向けて叫んできた。
「大丈夫だよ!」
田口さんが右手を振りかえしながら答えた。
私が怪我をするというハプニングがあったが無事に1か所目に神社に到着した。
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