第39話
遼太にどれだけ理性のたがを外さないようにするのが大変だったかと言うことを長々と説明され、結局寝たのは日が変わった数時間後だった。お陰で寝不足である。
「おはよう。」
「おはよう。」
僕は何時に寝ても6時には起きるので、いつも通り起きて朝ごはんの準備をしていると遼太が起きてきた。
「健一朗は?」
「まだ寝てる。」
「そっか。」
「他は?」
「まだだよ。女子たちも夜遅くまで話していたみたいだからもうしばらく起きてこないと思うよ。8時を過ぎたら起こそうと思っているけどね。」
僕はそう言いながらケーキ型に生地を流し込んだ。昨日のメッセージアプリのフレンドの欄を見ていて知ったが、今日は山本さんの誕生日らしい。というわけで昨日買い物に行ったときにレモンを買ってきたて、現在レモンケーキを作っている。なぜレモンかと言うと僕が作ったことがあるケーキのなかで1人でほぼ失敗しないで作れるのがレモンケーキだからである。他にも、チョコレートケーキやロールケーキ、ショートケーキを作ったことはあるが焼きすぎてしまったり、形が崩れたりでうまくできないことが10回に4回ぐらいの頻度であった。だけれども、レモンケーキは10回に1回ぐらいの割合でしか失敗しない。だから、レモンケーキを作っている。
「ところで、なんでケーキを作っているの?」
遼太が着替えて戻って来て僕の手元を見て聞いてきた。
「今日、山本さんの誕生日らしいから。」
「えっ!」
「危ない!驚くならもっとスマートに驚いて!」
遼太が驚いて急に動いたので、もう少しでオーブンにいれようとしていた生地を落とすところだった。
「スマートに驚くってなんだよ。っていうかなんで知っているの?」
「なんでって、メッセージのフレンドのところで誕生日って出てるから。どうやら山本さんは非表示にしていないみたいだし……。」
遼太に理由を説明すると遼太はスマホを出して操作をし始めた。
「ホントだ!なんで昨日言ってくれなかったの?」
「聞かれなかったから。」
僕が真顔で言い返すと遼太は固まった。
「ああ……もう、そういえば、そういうやつだったよな。ケーキはいつ出す?」
「晩御飯の時に出すよ。」
「分かった。」
そう言うと遼太は部屋へと戻っていった。
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