第30話 高校時代1‐3

「これより学年対抗の大将戦を行います。ピストルの音と同時に開始してください。」

アナウンスが終わるとそれぞれグラウンドの三方に散って開戦の合図を待っていた。


パアァ~ン!


「開始の合図と共に2年生が3年生に向けて半数の騎馬が移動し始めた!3年生も2年生側に騎馬を集めて守りを固めた!1年生は守りの陣形を取って全く動かない!あの陣形は先ほども見せていたがあれはなかなか崩すのは難しそうだ!」

3年生と2年生が激しく激突しており、両者共に離脱者が出てきている。

「おお、ここで1年生が出てきた!」

山本騎と川崎騎が並んで3年生に向けて動き出した。しかし、重量級の騎馬というのもあってとてもゆっくりと進行している。そのすぐ後ろに隠れるようにしながら遼太達の騎馬がついている。そのままゆっくりと進行していたが、遼太達の騎馬は3年生の大将から50mぐらいの地点で停止した。

「てっきり1年生は3騎で攻め込むと思っていたが2騎だけで攻め込むようだ!」

そのまま、山本騎と川崎騎はゆったりとした歩みで2年生と3年生の衝突している場所に接近すると力技で3年生の大将の前にいた騎馬を左右に押していった。2、3年生は負けじと山本騎と川崎騎を倒そうとしたが逆に返り討ちにあっていった。

「えっ!3年生の大将の前で守りを固めていた騎馬が力技でのけられ1年生の騎馬から3年生の大将まで道ができた!」

遼太達の騎馬はそこに向けてどんどんと加速しながら突っ込んだ!しかし、3年生の騎馬も正面から突っ込んで来るのが分かっていたのでしっかりと腰を落として衝突に備えていた。

「おお!大丈夫か!」

勢いよく3年生の騎馬に突っ込んだまでは良かったが突っ込んだことで上に乗っていた石田君がきれいに宙を舞って3年生の大将に足から突っ込んだ。3年生の騎馬もまさか上に乗っている人が直接騎馬に飛び乗ってくる予定はなかったようでそのままつぶれた。ちなみに遼太達も衝突の衝撃に耐えることができずにすでに3人とも地面に転がっている。

あっという間に運動場に居た教員が走って駆けつけていった。

「ええ、3年生の大将の騎馬はつぶれたので3年生は場外ヘ退場してください。」


パアァ~ン!


「2年生の大将の騎馬のはちまきが取られたのを確認しました!これにより学年対抗の大将戦を終了します。」

どうやら遼太達は大丈夫かな?と青チームの全員が注目している間に1年生が全員で2年生を急襲して2年生の大将のはちまきを取ったようだ。しかし、運動場に居るほぼ全員が3年生と遼太達は怪我をしていないかな?大丈夫かな?と不安になり注目をしていたためえっ!いつの間にという空気に包まれる中終了した。


◇◇◇


「まあ、誰も怪我人が奇跡的に出なかったからよかったんだけど、翌年から騎馬戦は無くなったよ。」

「「ああ…。」」

私と友梨ちゃんは納得した顔をしながら頷いた。

「ちなみに、全て翔真が立案した作戦だったって後から聞いたときは驚いたよ。だって、翔真はあの3人の中では一番穏やかな性格だったもの。でも、遼太と健一朗に聞いたら、翔真が一番好戦的な性格で一番過激な作戦を立案するよ。って言われた。ねえ、どう思う?」

いきなり振ってこられて困惑していると横に居た友梨ちゃんが答えた。

「どうだろう?ねえ、由香ちゃんどう思う?私よりも関わっている時間は長いでしょう。」

うん、そしてそのまま私に振ってきた。

「いや、長いっていったも少しだけだし。でも私は穏やかな人だなぁ。と思うよ。」

「そっか…。」

「何か好戦的な性格だとか過激な作戦を立案したというエピソードは何か無いの?」

「うん…あ、あるけど長くなるから今日の晩でいい?」

優花ちゃんはニコニコとしながら言ってきた。ところで晩って何?私は何も聞いていないよ。友梨ちゃんを見たけど友梨ちゃんも知らないようで首を振っていた。

「晩って?」

「あれ?遼太達から聞いてない?今日みんなでお泊まりすることになっているんでしょう?なんか、私遼太の家に泊まるって言ったら遼太に翔真の家に泊まるから。一緒にご飯を食べる女子2人も泊まるからお前はそっちで寝るように。って言われたんだけど。」

そういえば、野口さんからお泊まりできるように服を持ってきておいてね。って連絡があった。だから、私と友梨ちゃんは着替えを念のため持ってきたけどそういうことか。

「ああ、うん。そんな連絡があったよ。」

「うん。よろしくね。」

「「は~い。」」

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