第28話 高校時代1‐1

「あの、そろそろ離してくれない。あとあの3人の高校時代について教えて!」

とてもこの状態が恥ずかしくなってきたのでこの状態を抜け出すために少し大きめの声で言った。

「そうだね。いいよ。何を聞きたい?3年間クラスが一緒だったし、同じ部活にも所属していたから結構色々と話せるよ。」

岩本さんがにこにことしながら聞いてきた。

「それじゃあ、高校時代のあの3人はどんな感じだったんですか?」

友梨ちゃんが聞いた。

「うんとそうだね。あの3人は常に一緒にいたね。別に他のクラスメイトと仲が悪いとかはなかったんだけどね。なんなら男子の中心だったみたいだよ。」

「「え!」」

岩本さんが言うことがあまりにも信じられなくて思わず声が出てしまった。

「そうだよね。クラスの中心人物になる人って感じは無いよね。でも何かあったときは基本的に中心にいたよ。」

「意外です。何か中心になるような出来事があったんですか?」

「あったね。いくつか。せっかくだしあった中で一番印象的だったことを話そうか?」

「「はい!」」

岩本さんが話したいです雰囲気全開だったのでおとなしく聞くことにした。

「あれはね。1年生の時の体育祭での出来事なんだけどね…


◇◇◇


「さあ、次は第一回の体育会から行われてきた伝統種目男子対抗騎馬戦です。それでは選手入場です。」

元気のいいアナウンスとともに入場の音楽が流れ始め、選手が入場し始めた。

「さあ、まずは1年生の部です。騎馬戦は3本勝負で行います。1試合目が総当たり戦です。これは5分間戦い、5分後に残っている騎馬が1番多いところから順に3ポイント、2ポイント、1ポイント獲得できます。2試合目は一騎打ちです。グランド中央にある円の中でそれぞれ行います。先に全滅した方が負けです。勝ったチームには3ポイント、負けたチームには1ポイント加算されます。なお、相打ちの場合は両チームに1ポイント加算されます。最後は大将戦です。大将が討たれた時点で終了となります。1番最後まで大将が残っていたチームに3ポイント、2番目のチームに2ポイント、3番目のチームに1ポイント、そして残念ながら1番最初に倒されたチームにはポイントの分配はありません。各学年の優勝チームは学年対抗の大将戦がありますのでグラウンドに残るようにしてください。それでは準備ができたようなので1年生の部、第1試合総当たり戦を始めます。ピストルの音と同時に開始してください。」

アナウンスが終わると4チームがそれぞれグラウンドの四方に散って開戦の合図を待っていた。


パアァ~ン!


開戦の合図と同時に各チームが動き出した。するとチームごとに特色が現れた。

私たちのクラスが所属している青チームは全く動く気配がない!

「おおっと、青組は他のチームが潰しあいをして減っていくのを眺めておく作戦か?一方で、緑組はバラバラに動き出した。赤組と黄組は数機ごとにまとまりながら動いている。さぁどこのチームが勝つのだろうか?」

「青、動け~!」

「大将戦と勘違いしてるのぁ!」

開始三十秒が経ってもどの騎馬も動こうとしないのでついにブーイングが始まった。

「おお、ここでついに青チームから1機飛び出した!しかし、上に載っている人は頭を両手で抱え込んで姿勢を低くしている!あれでは他の騎馬のハチマキが取れないではないかぁ!」

飛び出した騎馬を見てみると戦闘は健一郎、左後ろが翔真、右後ろが遼太、そして上には田中君がいた。田中君はクラスで一番小さくて軽い男子だ!小ささでは群を向いて小さい。何せクラスの半分以上の女子よりも小さいのだから。そんな彼が小さく丸まれば健一郎の頭の方が高いのではないかという状態になっている。

「おお、どうした!青組の飛び出していった騎馬がどんどんとスピードを上げている。というか、ダッシュしているぞ!他の騎馬よりも圧倒的に早い!これは1年生の中では最速ではないか?」

遼太たちの騎馬はどんどんと加速していきそのまま相手チームの騎馬に突っ込んだ。

「なんと、青チームの騎馬が黄チームの騎馬を撥ね飛ばした!そのまま勢いを殺さずに次々と撥ねていく!なんということだ!避けようとしても接近してくるスピードが速すぎて避けきれない!」

「騎馬戦を知らんのか!」

「あてにげするな!」

さっきまで自チームの応援団からブーイングを受けていた青チームだが、次は他のチームの応援団からブーイングを受け始めた。しかし、そんなこと全く気にも留めずに単独でグランドの中を縦横無尽に走り回る遼太たちは残り3分のアナウンスとともに自チームの集団の中へと帰っていった。遼太たちのチームが帰っていった後の騎馬の状態はほとんど減っていない青チームと1騎だけ残った赤チーム、3騎残った黄チーム、すでに1騎も残っていない緑チームという具合だ。しかも、どの騎馬も遼太たちの騎馬と接触したり、遼太たちが倒した騎馬が崩れてきた際に接触しており、今にも壊れてしまいそうだ。

「田中騎がぶつかり回ったおかげでもうほとんど相手は残っていない!このまま待っても勝てるが、動けとブーイングをされてしまったので仕方がない。田中騎の護衛を山本騎と川崎騎に任せて残りは一掃しに行くぞ!」

「「「「おおお~!」」」」

青チームに所属する各クラスの体育委員と学級委員長または副委員長で作られた騎馬に載るうちのクラスの体育委員の石田君が叫ぶと周囲の青チームから野太い声が響き渡った!

「突撃!」

石田君の号令に合わせて一斉に残っている騎馬に向けて走り出した。

「おお、ここにきてついに青チームが動き出した!次々と残っている相手チームの騎馬をつぶしていく!」

1騎に対して2騎から3騎で潰しに行った。

そして石田君の号令から1分も経たない間に青チームの騎馬以外がグランドから姿を消した。

「1年生第1試合終了です。最後まで残ったのは青チーム、次は赤チーム、そして僅差で赤チームよりも先に全滅してしまった黄チーム、最下位は緑チームです。

第2試合は校舎側から見て右側で青チームと黄チーム。左側で赤チームと緑チームで対戦します。

各チーム所定の位置へ移動してください。」

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