第25話 あいつが来た
「ヤッホー、翔真来たよ!」
「久しぶりだね。岩本。」
佐々木さんと山本さんが作ってくれたお昼を食べ終え、3人でくつろいで居るとあいつこと岩本優花が来た。
「ところで翔真、奥からこっちを見ている女子2人はどちら様?翔真の彼女はないだろうから妹か姉?いや翔真は弟しかいなかったよね…」
岩本に言われ振り返ってみると、顔だけを出してこちらの様子をうかがっている佐々木さんと山本さんの顔が見えた。
「優花!とりあえず、落ち着こうか。」
「遼太、私は小さい子じゃないんだから抱っこしないでよ!」
「わりい、わりい」
「とりあえず、入って。あんまり玄関の前で騒いでいても近所迷惑になるだけだから。」
「分かった。」
遼太は全力で抵抗(?)している岩本を抱えたまま中に入っていった。
健一郎と僕は無言でうなずきながら中に入った。
中に入ると部屋の奥にはぴったりとくっついている佐々木さんと山本さん、手前には遼太と遼太の膝の上にのせられてさらに遼太の腕でしっかりと抑え込まれている岩本がいた。岩本は必死に抜け出そうとしているが遼太が逃がすつもりがないようで全く抜け出せそうにない。
「遼太、もうしばらく岩本を抑え込んでおいて!その間に佐々木さんと山本さんに説明しちゃうから。」
「おう。」
遼太が力ずよくうなずいてくれた。
「ちょっと翔真、なんでよ。そこは開放するように言うところでしょ。」
「そうなのか?健一郎どう思う?」
「遼太、抑えておいてくれ。できれば岩本が疲れ切って寝るまで。」
「任せとけ!」
「それはひどいよ。」
満場一致で岩本は遼太が拘束しておくことに決まった。期間はしばらくの間(おそらく寝たら開放)である。
「さてと、そのままでかまわないからこれの紹介するね。」
僕は隅っこで固まっている2人に声をかけた。
しばらくすると2人ともうなずいたので紹介を始めることにした。
「このちっちゃい女子は岩本優花。ちっちゃいけど僕らと同じ大学1年生だよ。あと伝えることは…そうだ、高校の時に僕らと3年間同じクラスに居たことと遼太の彼女ってことくらいかな。健一郎、あってる?」
「ああ、そんなものだと思うぞ。後は気になることがあれば直接本人に聞いたらいいんじゃないか。どうせしばらくは遼太という名の檻に入っていて出てくることができないからかまれる心配もないし。」
「そうだね。」
「ねえ、ちょっと!翔真!ちっちゃい、ちっちゃいって私はそんなにちっちゃくはないからね。ちゃんと身長も140センチはあるんだから。後、健一郎かむって何よ。私は女子大生だからね。猛獣か何かと一緒にしないで…。」
岩本は僕たちの紹介が不満だったようで全力で抗議してきた。しかし、抗議もむなしく文句を言っている途中で遼太に口を手でふさがれてしまい声を出せずうなっている。その様子を見て遼太が
「落ち着こうか。」
と言いながら口を押さえてる逆の手で頭をなで始めた。ちなみに岩本の体は遼太の両足でしっかりと抑え込まれているので抜け出してくる心配はない。
佐々木さんと山本さんはどうしたらいいのかわからずに2人で顔を見合わせていた。さてこの状況はどうしたらいいんだろうか?
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