第23話 あいつが来る
「今週末からゴールデンウイークが始まるわけだが、1日~4日であいつが来る。というわけで、翔真、健一郎あと佐々木さんと山本さんも悪いんだけどここで一緒に晩御飯食べるために集まってもらえないか?」
4月末の最終週のある日、夕食の席で遼太がいきなり言った。5月1日は大学の創設記念日の振り替えということで休日であり、2日は昭和の日の振り替え休日として大学が休みになるので4月29日~5月7日までの9連休になる。聞いた話では毎年ゴールデンウイークは9連休前後になるようになっているらしい。時々日程調整をしてもならない時があるが、そんな時は基本的に教授たちに何かしらの用事が入って休講になるので実質連休になると先輩たちが話しているのを聞いたことがある。
「別に僕はいいよ。」
「僕もかまわないよ。何ならバス停に着く時間さえ教えてくれたら迎えに行くよ。」
「私もゴールデンウイーク中は特に用事がないので大丈夫ですよ。」
「私も大丈夫です。」
4人とも了承したのでゴールデンウイーク中に晩御飯を僕の家で食べることが決定した。
「ところで、遼太。この前、ウミホタルが今の時期きれいに見えると聞いたんだけどせっかくだから行かない?」
健一郎が笑顔で提案してきた。
「いいね。それならテントも持っていこうか。」
せっかくなので少しいたずらがてら提案してみた。
「翔真、さすがだね。」
「ちょ、翔真、健一郎!それだけはやめてくれ!」
「「いやだ!」」
遼太が真顔で訴えてきたが2人で息をそろえて拒絶した。
「翔真、それならついでに釣りの準備もしておくね。」
「おう。任せた。遼太は水着持ってきておくんだよ。」
「翔真、どうせ遼太は言っても持ってこないからこっちで準備しておくべきだよ。」
「そうだね。」
「あの、さすがに海に入るのはまだ早いと思いますよ。」
3人で仲良く話し合い(?)をしていると佐々木さんに言われた。
「大丈夫です。たぶん海には入らないので。」
「はあ…。ところで先ほどから出ているあいつとはどなたなんでしょうか?」
佐々木さんはどこか釈然としない顔をしながらも聞いてきた。
「それは、会ってからのお楽しみということで。大丈夫です。佐々木さんと山本さんは仲良くやっていけますよ。どちらかというとあいつはあなたたちに近いですから。」
僕は笑顔で言い切った。その後もあいつの情報を得ようと言い回しを変えて佐々木さんと山本さんは質問をしてきたけどすべてのらりくらりとかわし続けた。
「まあ、いいです。最後に1つ確認したいのですが、先ほど言っていたテントと水着は今回のことに関係しているんですか?それを聞いた野口さんがいつにもなく取り乱しているのですが、いったい何があったのですか?」
「それは、僕の口からは言えません。あいつが来た時に聞いてください。大丈夫です。あいつと佐々木さんと山本さんの3人だけで話ができるように僕が動くので…。」
佐々木さんと山本さんは最後まで僕たちの回答に不服そうだったけど、これ以上帰るのが遅くなってはいけないということで帰らせることにした。
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