第18話 佐々木由香と山本友梨のお昼休み
~山本友梨side~
今日の1限の講義はグループワークだった。私は小学校から女子しかいない環境で育ったために男の人が苦手である。苦手というのは語弊があって怖いのかもしれない。だから、できるだけ女子が多いグループに所属したかったんだけど、割り振られたグループは男子3人女子2人の5人グループだった。男子は1人は横にも縦にも大きくて、残り2人のうち1人は細いけど服の上からでもしっかりと筋肉があるのがわかる細マッチョで最後の1人は筋肉がそこまでついてるわけでもなく、というかガリガリとだった。きっと3人足して3で割ったら平均より背が高い普通の男性になるんだと思う。女子はどことなく気まずそうにしていてとても男子との仲介をしてくれそうにはなかった。
なので、私はほとんどしゃべることなく1限の講義を終えようとしていた。ところが終わる直前で細マッチョ(野口さん)の男性がガリガリの男性(田口さん)の家で続きをしようと言い始め、男子3人でするのかなと思っていたら縦にも横にも大きい男子(佐藤さん)に私たちもどうかと誘われてしまった。私は佐々木さんが断ると思っていたし、行かないでおこうとも思っていたんだけど、佐々木さんはOKした。さすがにこの流れで拒否するのは不味いと思ったので私もOKすることにした。
OKしたもののやっぱり男子とは何を話したらいいのか分からないし、行ったはいいけど1人だけ会話に混じれないのも嫌だったので2限目の講義で佐々木さんの近くに座って仲良くなることを心がけた。だけど、ほとんど話す機会がなくこのままだと不味いと思ったので2限の終了後すぐに話しかけた。
「ねえ、佐々木さん。一緒にお昼食べない?」
「うん、いいよ。私は食堂で食べるけど、山本さんは?」
「私も食堂だよ。」
と言ってそのまま食堂に移動した。
「ねえ、山本さんは何で今日男子の家に行くことをOKしたの?どちらかというと男子を警戒しているからOKしないと思ったんだけど。」
お昼を食べはじめてすぐに佐々木さんは私に聞いてきた。
「それは、佐々木さんもいるから大丈夫かなと思って。あと、このままだといけない気がしたし。」
「そっか。」
佐々木さんがなんとなく察した雰囲気で答えた。
「私も聞いていい?」
「うん。何?」
「今日、1限の時間なんとなく気まずそうにしていたように感じたんだけど、どうして?」
「それは…ちょっと金曜日に色々あったというか、見られたというか、…うん、まあ色々でね…。」
佐々木さんはどことなく答えにくそうにしていた。
「はあ、聞かない方がよかったのね。なんかごめんね。」
「いや、全然大丈夫だよ。それよりも早く食べよう。」
「そうだね。」
言われて時計を見ると次の講義が始まるまであと15分しかなかった。次の講義は食堂から一番遠い教室だから移動に5分近くかかってしまう。なのであと10分いないに食べ終えて移動を開始しないと間に合わない。というわけで、その後はしゃべらずに食べた。
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