第16話 料理2

300個の餃子を包むのにはとても苦労した。最初は5人でやればすぐに終わると思っていたのに、佐々木さんと山本さんが包むと中身がとても少なくなり、遼太と健一郎は詰めすぎて皮がきちんと閉じられなくなってしまった。結果的に4人に戦力外通知を出して、1人で包むことになってしまった。途中でたねが大量に残ってしまいそうになったので、急遽健一郎に皮を追加で100枚買ってきてもらった。


「よし、包み終わったよ。もう当分包みたくない。というわけで、遼太今後餃子を食べたくなったら自力で包めるように練習してから言ってくれ。」

僕は真顔で今日の晩御飯のメニューを決めたであろう遼太に一応文句を言ってみた。

「分かった。次はもっと大きな皮を探してくる!」

しかし、帰ってきたのは予想の斜め上を行く発言だった。

「はあ。」

「翔真、それよりも焼いていこう。そうしないと食べ終わるのが遅くなる。僕たちは別に翔真の部屋で雑魚寝でもいいんだけどさすがに佐々木さんと山本さんはそういうわけにはいかないからさ。」

遼太の発言に呆れて固まっていると健一郎が正論を言ってきた。でも、なんで泊まろうとしているのだろうか?明日も1限から資格関連の講義があったはずなんだけどな。

「そうだね。健一郎焼くのは任せた。僕は少し片付けをしてくる。」

健一郎に焼くのを任せて僕はキッチンへと戻った。

さてと、朝出汁をとって冷蔵庫に入れていたからそれを使って味噌汁でも作ろうかな。具材はタマネギとニンジンでいいかな。どちらも朝切って冷蔵庫に入れていたから切る必要もないし。出汁の量は若干少ないけど、豆腐を入れてかさましすれば大丈夫だろう。

というわけでだしを火にかけ、ある程度ぬくもったところでニンジンとタマネギを入れてしばらく放置。その間に洗い物を片付けた。しっかりと火が通ったのを確認したら味噌と豆腐を入れて少し置いたら完成。あとは器に盛りつけて持っていこうかな。

「翔真!第一弾焼けたぞ。」

器を準備して味噌汁を入れていると健一郎の声がした。

「分かった。米が炊けたからとりに来て。あと味噌汁も作ったからよろしく。」

返事をするとすぐに遼太が取りに来てくれた。

健一郎は第二弾を焼く準備をしているようだ。さて、とりあえず僕も食べようかな。

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