第13話 気まずい講義

週が明けて月曜1限の講義は環境問題についてグループで意見をまとめて最終講義で各グループごとに発表をするという内容の講義である。1回目の今日は「あなたたちがこれが環境問題であると思う事柄にグループで相談してできる限り多く事例をあげましょう。」である。講義内容自体はシラバスにも載っており、大した問題ではないのだが、グループに問題があった。僕の所属するグループは僕、遼太、健一郎、佐々木さん、山本さんの5人グループだ。佐々木さんは僕たちと一緒にいるとどこか気まずそうにしているし、山本さんは話しかけても首を縦に振るか横に振るか以外まったく反応がない。今日の講義では同じグループ内で意見を出し合う必要があるのだが僕と遼太、健一郎の3人しか意見を出しておらず、ほかの2人が全く言葉を発さないという今日のグループワークとしては壊滅的な状態である。

「ねえ、山本さんと佐々木さんは何か意見無い?」

遂に健一郎が見かねて直接聞いた。

「「…」」

結果は2人が固まるだけだった。

「翔真、遼太、今日の講義ではグループごとにれが環境問題であると思う事柄にグループで相談してできる限り多く事例をあげて、スライドにまとめて提出しないといけないのだからとりあえず今出ている意見をまとめようか。そうしないと後10分では終わらないよ。」

どうしたものかと悩んでいると健一郎が提案してきた。確かに早いところまとめださなければ講義終了までにまとめることができなさそうだ。

「そうだね。急ごうか。というわけで、健一郎スライドの共有お願い。共有さえしてくれたら書くから。」

「分かった。」

健一郎はそういいながら素早く共有した。

「できたと思うぞ。確認してくれ。」

健一郎に声をかけられて確認すること共有されていた。

「できてるよ。」

「できてるな。」

「よし、とりあえず男子2人はできたな。そちらの女性陣はどう?」

健一郎が聞くと2人とも首を縦に振った。どうやらできているようだ。

「それじゃあ、とりあえず今日出た意見をそれぞれのスライドの表題に入れているからそれの事例について本文を書いていこうか。」

「分かった。」

「了解。」

5人で作業を開始してすぐに

「さて、そろそろ終わりだけどどこのグループもまだ提出できそうにないね。うーん。仕方がないので今週の金曜日の17時までにまとめて代表者がメールで提出してください。私のメールアドレスは今日配布した講義資料に載せています。」

教授が言い終えると同時にチャイムが鳴った。

「仕方がないからここまでにしようか。2限の講義もとってるんだし。」

「そうだね。あとは今日の4限終了後に翔真の家に行ってするとしよう。」

遼太がまるで当然と言わんばかりに言った。

「遼太、悪いが今日は僕は1~5限までみっちり埋まっているから5限終了後にしてくれ。あと、来るなら食材よろしく。流石にこの前遼太たちが買ってきた食材は前回の夕食で使い切って今、冷蔵庫も野菜室もほとんど何も残っていないから。」

「おう、分かった。健一郎はどうだ?」

「僕も行こうかな。僕は4限までしかとってないから先に遼太と買い物に行って5限が終了するころに翔真を大学に迎えに着たらいいんだよね。あ、佐々木さんと山本さんも来る?」

「えっと、はい。良いのなら。」

佐々木さんは恐る恐る答えた。山本さんも横で首を縦に振った。

「よし、それじゃあみんなで翔真の家に5限終了後に集合と言いたいんだけど佐々木さんと山本さんは5限とってるの?」

「はい。」

「うん。」

「それじゃあ、5限終了後にロータリーに来て。そこで集合ということで解散。」

健一郎はそういうとさっさと教室を出て行った。

「うん。そういうことらしいのでまた後で。」

僕も固まっている佐々木さんと山本さんに声をかけて次の講義のある教室へと移動した。

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