第11話 警戒されている理由2
健一郎に焼きそばの材料を持ってもらって僕はお好み焼きの材料を入れたボールを持って、リビングに戻ると遼太と距離を取ってとてもあたふたとしている佐々木さんとそれを見て固まっている遼太がいた。
「おい、遼太。何した?」
遼太が何かをしたのだろうと思い、聞いてみることにした。
「翔真、顔と声のトーンが一致していないよ。」
後ろから来た健一郎が呆れた顔をしながら言った。
「うん?」
「佐々木さんが怯えているからとりあえず翔真は落ち着こうか。どうせ、遼太は素直になんで警戒しているのかを聞いたか、なんで怖がられているのかを聞いて、佐々木さんは本人に直接、その理由を説明できないで固まっていただけだと思うよ。」
「なるほど。遼太、あってる?」
「ああ、聞いた内容はあってるぞ。佐々木さんの考えてることがあっているのかは知らん。」
「「まあ、そうだろうね。本人じゃないし。」」
僕と健一郎が声を合わせて遼太に返していると、さっきまで部屋の隅っこで小さくなっていた佐々木さんが
「えっと、あってます。」
と答えた。
「私が野口さんを警戒していた理由は、なんで私がスマホを持っていないこととそんなにお金を持っていないことを知ってたのかなと思ったからです。」
てっきり僕の家に連れてくるまでに遼太が何かやらかしたのだろうと思っていたけど、どうやら朝僕が何気なく言った一言が佐々木さんが遼太を警戒する理由になっていたようだ。うん、そりゃあ遼太にとってはよくわからないよね。
「ああ、それはつまり僕が原因?」
「えっと、まあ、田口さんから聞いてどうしてだろうと思ったので、原因かもしれないです?」
佐々木さんは首をかしげながら僕の質問に答えた。
「まったく、翔真。おまえが原因じゃねいか。」
とても呆れた声で遼太が言ってきた。
「そうみたいだな。すまんな。」
僕は遼太に対して軽く頭を下げて謝った。
「いいよ。さてと、佐々木さんの疑問に答えておくとしようかな。まず、お金を持っていないことについてだけど、普通は大学に講義を受けに行くのにそんな大金を
持って行かないでしょ。そして、昨日はいきなり翔真の家に泊まることになって泊まるのに必要なものの買い物をした。そして、佐々木さんが買ったであろう物は1つ1つはそこまででもそれなりにものを買わないといけないから、まあまあの額になる。結果的に最初の所持金が少ないから全部買った後のお財布の中身はさみしくなるよね。そして、スマホを持っていないことに気が付いた理由というかこっちはほぼ勘だね。ただ、緊急のメールを確認していないのを見てもしかして持っていないんじゃないかな?と思ったぐらいかな。あとは持ってたらアパートの管理会社なりに連絡すると思ったけど連絡していなかったからかな。」
遼太が説明すると佐々木さんはどこか納得した顔をしてうなずいていた。
「さて、そろそろ昼にしないか。準備もできているんだしさ。」
健一郎が言い出すタイミングを見計っていたようでちょうど話が丸く収まったところで声をかけてきた。
「そうだね。それじゃあ、さっさと焼いて食べようか。」
各自が席に着き、食べ始めた。やっぱりご飯は楽しく食べないと損だよね。
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