第8話 朝

ぴ、ぴぴ、ぴ、ぴぴぴぴぴ

「うん?朝かぁ~。」

いつも通り目覚ましのアラームでいつも通り起床した。

さてと、朝ごはんは昨日炊いた米と具沢山味噌汁でいいかな。そういえば、佐々木さんはどうするんだろうか?後で聞いてみようかな。


「おはようございます。」

キッチンで朝ごはんの準備をしているとジャージ姿の佐々木さんが出てきた。なんとなく寝不足のように見えるが気にしないことにしておこう。

「おはようございます。朝ごはんは米と昨日の具沢山味噌汁でいいですか?」

「ええ。大丈夫です。わざわざ準備してもらってありがとうございます。」

「いえ、大丈夫です。」

「健一郎と遼太は9時頃に来ると連絡があったので、それまでに準備をしておいてください。」

「あ、はい。わかりました。」


~佐々木由香side~

結局あまり寝ることができなかった。

昨晩、田口さんがお風呂から上がってきた後すぐに私も布団に入ったのに私自身は思っていたよりも知り合って数時間の異性がすぐ傍にいるという状況に緊張していたみたい。布団に入っても眠気が全く来ず、眠気が来た頃には外が明るくなってきていた。

今日は雨が降ると天気予報で雨が降ると言っていたのに雨は降っていないみたい。でもとても曇ってるからそろそろ雨が降るのかな?

そんなことは今どうでも良くて、現在進行形で問題が発生しているんだよね。それは会話が全く続かないということ。おかげでとても静かで気まずい空気の中朝ごはんを食べることになってしまった。昨日の晩御飯の時は田口さんと野口さん、佐藤さんの3人が仲良く話していて、私はそれを聞いているだけだったけど、3人が常に話していたのであまり気まずい雰囲気ではなかったんだけどな…。どうしよう?

「佐々木さん、どうかしましたか?」

「え、いや。ええ~と…今日は雨だと言っていたけど雨が降っていないなぁ~。と思いまして。」

どうやら私が何か悩んでいるように見えたようで気を使って話しかけられた。とっさに会話をしようと思って答えたんだけど答えとして間違えた。これじゃあ会話が続かない未来しか見えないよ。

「そうですね。さっき気象庁の雨雲レーダーを見た感じだとあと30分は天気は持ちそうでしたよ。その後は土砂降りになるみたいでしたけど。」

「そうなんですね。」

おお、奇跡的に会話が続いた。でもここからどうやって会話を続けようかな?全く会話を続けられる気がしないんだよね。

「佐々木さんは午後の講義はとっていますか?」

「いえ、とっていませんよ。どうかしましたか?」

「昨日、遼太が佐々木さんはスマホを持っていないみたいだよ。あと急に泊まることになって、それに必要なものを買ったからあまりお金も持っていないみたい。と言われたのでもし午後の講義を取っているならお昼の準備ついでに簡単なお弁当を渡そうかと思っただけです。」

「そうですか。」

確かにスマホを家に忘れてきたし、泊まるのに必要なものを買ったからお財布の中は百円あるかないかぐらいだったけど…なんで野口さんは私のお財布の中の状態を知っているのだろう?私は野口さんの前ではお財布を出してないし、買い物した店も女性用の下着が売ってある店と衛星用品が売ってある店で同じ階にはあったけど食料品を扱っている場所からは離れていてとても財布の中を確認できるような場所ではなかったと思うんだけどなぁ~。と考え事をしながら準備をしていると野口さんたちが迎えに来たようだ。

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