第6話 お風呂
~佐々木由香side~
今日起こったことは自分でも信じられない。確かにあのままだったら今日の夜寝る場所も確保することができず、部屋の前か大学内のベンチで一晩過ごすことになっていただろうから連れてきてもらえたことも、ここに泊めてもらえるようになったことも感謝はしている。だけど、だからといって「それは大学の事務にある!」と言いながら詳しい説明もなくいきなり車に自転車ごと乗っけて大学に戻って大学の事務室が閉まっているのを見て、一晩泊めてくれそうな友達はいるかと切羽詰まった感じで聞いてくるなんて、あの時は「いない」と何とか答えられたけどなんか怖かったなぁ。それから2人揃って「そんじゃあ、しゃあないからあいつん家に連れていくか。そうすりゃあ何とかなるだろう。」と言って私に再び車に乗るように言ってきた時は私はどこへ連れていかれるのだろうかととても不安になったんだけど、そのまま近くのスーパーに連れて来られて、「泊まるために必要なものを買っておいで、俺たちは食料を買ってくるから。買い物が終わったらそこのベンチで待ってて。」と言われてそのまま言われた通りに下着とかを買ってベンチで待ってたら2人が両手いっぱいに買い物袋を持ちながら「そんじゃぁ、行こうか。」と言われて説明もないまま田口君の家に連れて来られたんだよね。家に入る直前で「出てきたら簡単に自己紹介をしてね。」と言われたからそのまま自己紹介をして、そのまま家に入れてもらえたと思ったら靴を脱ぐ前に電気を消されて放置されてしまうし、あれはさすがにどうしたらいいのかな?って困惑したな。もともと私は人見知りで知らない人と話すことも滅多になく、話しかけられても会話が続いたことの方が珍しかった。そんな私は今、数時間前に初めて話した男子の部屋でお風呂に入ってる。よくおばあちゃんに「人生何があるか分からないものだよ。」と言われてはいたけど絶対こういうことじゃないと思う。
~翔真side~
洗い物を終わらせた。佐々木さんはまだ上がって来なさそうなので、明日の晩ごはん用とお弁当用にハンバーグのたねを作って冷凍庫に入れた。
「おかしいな。もう1時間は経つのに佐々木さん上がってこない。のぼせてないかな?咳き込んだりむせた音がしていないから溺れてはいないと思うんだけどどうかな?」
翔真はのぼせてないか?溺れていないか?と心配にはなるが、聞きに言って大丈夫だった場合は早く上がって来るようにと急かしているような感じがして嫌だし、のぼせたり溺れていることはドア越しではわからないから覗く必要があるが異性のお風呂を覗くことには抵抗があり、本当にのぼせたり、溺れていたとしてもどうしたら良いのかが分からないで対応に困るのが明らかなのでどうしようかと悩むのであった。
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