第173話 それぞれの目的
ジリジリジリと聞いたことのないやかましいサイレン音が、世界樹対策課日本支部中に鳴り響いた。その後、「世界樹対策課日本支部に侵入者が現れた」とアナウンスが流れた。
どうやらミミ達が派手に暴れているらしい、自分の家から出てそこまで時間が経っていないが、騒がしくて癖の強いキャラ達だったから、直ぐにバレるだろうと思っていたので驚きはない。「ああやっぱりか……」と声が出てしまうくらい呆れた。
ミミは大丈夫なのだろうか……
数日とは言え同じ屋根の下で暮らした仲だ、少し彼女の事が心配だ。
ブーブーと携帯の電話が鳴った。電話の相手はオオモリヒカルさん、至急戦闘係Bに来いとの事だ。
「ああ、ヤダヤダ……どうすればいいんだよこの立ち位置。」
緊急事態を知らせるサイレン音が世界樹対策課日本支部中に鳴り響いている。前回、アオバさんとサイトウさんの事件の時でもサイレンとかはならなかった。つまり、よっぽど大変な事が起こったと言う事だ。今日は仕事がすぐに終わったので、家で漫画を読もうと思っていたのだがお預けになりそうだ。
私は現在1人しかいない戦闘係Aで、いつでも行けるように支度を始める。
戦闘係Aに電話が鳴る。電話の内容はここ世界樹対策課日本支部を攻めてきた侵入者の捕獲、もしくは撃退の内容だ。相手は人間らしい……。
私は侵入者が暴れている現場に向かおうとした。部屋から出ようとした時、また電話が鳴った。今度の電話は支部長本人からだった。電話の内容は「キラヨシツグ君は、戦闘係Bに行ってください。」との内容だ。私は最初、現在戦闘係A班が1人しかいないからB班と合流してから、侵入者の対策にあたるのだと思った。しかし、支部長から聞かされた内容は私の心を打ち壊す衝撃的な内容だった。
「おい、テッソウ! 少しはこっちにもよこせ!」
「そんなに殺したいならもっとスピーディに行くんだな!」
テッソウはロックに見せびらかすようにかぎ爪にべっとりと付いた血を舐めて煽る。汚いし、下品、樹神教がこんな奴らの集まりだなんて思われたくない。せめて私だけでもスマートに殺していかないと!
まあ、殺したら伝える者がいないから意味ないか!
廊下の曲がり角に敵の気配を感じた。
「おい、テッソウ! いったん下がれ! ロック頼む!」
「おうよ!」
銃を持った職員が私たちに向かって発砲してきた。しかし、職員の勇気ある行動は残念な事に無駄になってしまった。
「ハハハ! 俺の能力は硬化、シンプルイズベスト! 勿論、アソコモカチカチ」
「やかましい、そのまま私たちを守ってろ!」
私はロックの大きな身体を盾に、銃で敵の眉間に穴を開けた。
「まさか、銃持っている奴にこんなに早く会えるとは……」
「世界中で武器不足なのに、こんな下っ端程度にもいい武器支給されているなんて、流石世界樹対策課様だな。貰っていくのか、ガン?」
「ああ、勿論だ。20連ドラムマガジンを装着したショットガンか。対ゼノにも有効な、いい武器じゃないか。確かに世界樹対策課はいいモノを仕入れている。」
少し興奮を表に出してしまう。世界樹の災害の後、ゼノの脅威によって銃の供給が追い付けない程、世界中で武器不足になっている。しかもここは日本、ますます武器の入手が困難になっている。
「よし、この調子でスマートに行こう!」
初めて聞くサイレン音が対策課中に鳴り響いている。何か事件でもあったのだろうか? 僕は戦闘係Aに向かっている最中だ。不穏な空気が周りを飲み込む。その後、気味の悪い靄が目の前に現れた。
この靄は……
靄の中から3人現れた。
1人は見覚えのある顔だ。カメヤゲンドウ、前に見たときより顔色が良くなった気がする。女の方は頭にウサギみたいな長い耳を生やしている。真ん中のスーツを着たサングラス男は偉い奴だろうか、その男がゆっくりと僕に対してしゃべって来た。
「初めまして、俺様の名は
「そうか、話が早くて助かる。倒してOKってことだな!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます