第154話 やっぱり裏切りじゃねーか!

 「じゃあ、まずは上の人を紹介しますね!」

レオンは普段見せない笑顔を作り、よっぽど樹神教の力になれるのが嬉しいのかウキウキだ。自分がスパイだと言う事はばれていない様だ。ちなみに自分は、レオンの事を騙して申し訳ないとは一ミリも思っていない。そもそもレオンが今現在、仲が悪い樹神教に入っているのが悪い。


 どうせ、マルチ商法みたいに

 人を紹介したりしたら何か貰えるとかそんなとこだろ



 数刻前-

「これは重大な任務よ!」

「いや、嫌ですよ。敵の本拠地に乗り込めなんて」

「そうね、確かに危険なことだわ! でも貴方にしか頼めないの♡」

「……」

「安心して、 私の愛をアナタに与えるわ♡ 光魔法・愛の言葉光魔法・ラブレター、これでアナタはある程度の攻撃ならへっちゃらよ♡」

ヒカルさんから生み出された光は、自分の身体を包んだと思ったら煙の様に消えていった。だが生温かさが体の芯から感じられる。確かに能力は効いている様だ。


 なんか気持ち悪い……


「いい?! この技の効果時間は2日ぐらいで、大きな攻撃を受け続けると無くなってしまうわ。あと、規格外の攻撃は防ぐことが出来ない、気を付けていってらっしゃい。」

「まだ行くとは言ってないんですけど……」



 現在―

結局こうなってしまった……

「では、行きましょう。」

「行くって何処へ?」

「何処って、樹神教に決まっているじゃないですか!」

「いや、もっと段階とか踏まないの?」

「はい、コウキさんの事を話したら、幹部の方が是非お会いしたいとおっしゃって下さって、こんな機会滅多にないですよ!」

「あ、ああそうだね……」


 完全に警戒されているじゃん

 もしかしたら、返答次第で殺されるかも……



 対策課の外に出た自分たちは人気のいない場所へと向かった。

「ず、随分と暗い場所に向かっているがいいのか?」

「はい、できれば対策課の皆さんには見られたくないので……」


 やましい気持ちあんのかよ

 そりゃそうか……


「なあ、レオンはなんで対策課に入ったんだ?」

段々と不安になっていく自分の気を紛らわすため、

レオンに世間話を持ち掛けた。

「え! 入った理由ですか、最初は……」

何故かレオンは答えなかった。

「最初ってことは今は違うのか?」

「あ、あれ? ぼくはサクヤ様のために……」

完全に洗脳が解かれていない様だ。

しかし、レオンが捕らわれていたのは数日ぐらいの短い期間だったはず、ここまで完璧に洗脳できるものなのか、専門家じゃないのでわからないが対策課がお手上げになったほどだ。

「あ、そうこう言っている間に!」

半ば強引に話を逸らしたレオンは奥で待っていた1人の男を紹介し始めた。

「この方はカメヤゲンドウさん! なんとワープゲートを作り出せる方なんです。」

「どうも初めまして、カメヤと申します。」

「こちらこそ初めまして今日はよろしくお願いします。」


 こいつたしか……

 そうだ! ツルギって子の父親じゃないか!

 ろくでもないオヤジだと聞いたが、冴えないオヤジだな。


「ではもう少し遠くへ向かいましょうか。」

カメヤゲンドウは空間にワープゲートを作った。

「ゲート先で、死の土スートゥ様がお待ちしております。」

この人の指示に従い、自分たちはワープゲートを潜り抜ける。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る