第152話 誰だよ!
「誰だよ……サクヤ様って」
頭の中がモヤモヤしたモノで埋め尽くされている。
いい感じにレオンの事を知ることが出来ると思ったら、まさか悩みの種が増えるとは、対策課にいる人なら話も広げることもできたのに
そんなことで悩んでも仕方がないか……
おっと、そうだった。盗聴器こいつにつけないと……
自分は然りげ無くレオンの肩に腕をやって、今度その人紹介してよ。と、レオンが動揺するようなセリフを放った。案の定レオンは動揺し、その隙に能力で砂に変えた盗聴器をレオンに仕込ませた。
これで良し!
自分はホッと一息ついた。
これでヒカルさんにとやかく言われることもないだろう。
やることやったんだし!
「もどりました~」
「あら、遅かったじゃない」
「男同士の友情を深め合っていたのデスカ?」
「ん? まあそんなとこだな!」
エマの問いに適当に返答した後、ヒカルさんに成功したとガッツポーズで伝えた。上手く伝わったようだ、ヒカルさんはニッコリと微笑んだ。
「コ、コウキさん……」
レオンが恥ずかしそうに喋ってきた。
「ん? どうしたんだ?」
「そ、その……もしよろしければご紹介しましょうか?」
「え! いいのかよ。ありがとな!」
レオンにサクヤって人を紹介してもらえる約束もできた。その人のお友達とか紹介してもらえたら、自分も彼女が出来るかもしれん! あと、サクヤって人が個人的にも気になるし。
さて、面白くなってきたぞ!
「カラツガルの日本応援ラジオ~」
別にラジオが好きな訳ではない、ただテレビもYouTubeはまだ面白いモノがない。最近、ちょこちょことユーチューバーが復活し始めてきたところだ。でも昔みたいにバカな企画のモノはめっきり無くなった。
「さて、始まりました。カラツガルの日本応援ラジオ! この番組は私、カラツガルが災害後の日本を元気づけるために、あんなことやこんなことを語り、災害前の日本を取り戻そうという番組です。今回のゲストは元自衛隊の……」
カラツガルのラジオ番組、支部長がゲストで出演してから、やたらとゼノの事について話す様になった。もう世間一般に知れ渡っているから、こうしてメディアにも取り上げられている。というかほとんど連日ゼノの話ばっかりだ。
元気づけると言っておきながら暗いニュースばっかりじゃねえか……
「ありがとうございました。さて、今回はゲストをもう一方お呼びしております。樹神教のヤマノウチさんです!」
えええええ!
おいおい、いいのかよ!
一昔前のオウム真理教みたいなことになってんじゃん!
「皆さん、辛いことがあったとしても樹神教は全てを救います。」
バカバカしい……
けど、こんなのに騙される奴もいるんだよな……
自分はこの女の熱弁を聞きながら、自分はまだマシなんだと安心した。
そういえば、レオンのやつも一時入信しかけたんだっけ?
……まさかな、いやいやそんなことは無いはず!
自分は何をそんなに心配しているかって?
レオンの言ったサクヤってやつが樹神教信者じゃないかという心配だ。
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