第3話 午前5時のお茶会
「ここは作品なんです」
言っている意味が分からなかった。白房灯无愛の言っている意味が。
「作品ってなんだよ…てか君の説明をしてくれよ」
「だから説明してるじゃないですか。ここはある方の芸術作品で私はその作品の住人な訳です」
「だから分からな」
「ここは素直に聞いておこう。これ以上追求しても無駄だ。ねぇ白房さん。ここは誰の作品なんだ?」
「それはですねぇ」
その時急に地面にひびが入った。
「おや…一度お二方は、戻る様ですね。」
「えっ…戻れるのか?」
「えぇ…17時を過ぎたら戻れますよ。自動的に」
「17時…?それよりここは誰の」
するとひびがまた大きくなり今度は地面に大穴が開く。落ちる瞬間。俺と黙裏の手を白房が掴んだ。
「現実世界で桃乃木火怒蘭の情報を集めてまた来てください。それがお二方達が助かる方法です。それでは」
白房はそう言うと。笑顔で俺達の手を離した。
何時間経ったろうか。気がついたら俺達は図書室にいた。
「午前5時…朝だね。私達が学校にいた12時から、17時間経ってるね」
17時間…だが不思議と疲れは感じない。それ所か身体の不調等が治った気がする。
「何故、先生は、私達がいない事に気がつかなかった等は、置いておいてとりあえず状況を整理しないかい?丁度図書室だしね」
「あぁ…わかった」
俺達はとりあえず近くの席に座る事にした。席といっても、黙裏は受付の席を選んだ為、俺は一つ机を通し、運んだ椅子に座ったわけだが。
「ここの方が落ち着くんだ、あまり人が座った痕跡もないしね。それよりまずは最初、私は理科室から出たんだ。そして異変に気づいた。理科室が図書室になっていた事」
「で、図書室で悩み事をしていた俺に近づいた」
「うん…まぁ白亜紀や昭和時代の事は置いといても、君はこの時、桃乃木火怒蘭のことを考えていた」
「あぁ…でもそれがどうした?」
「実はね、私も理科室にいた時、偶然、桃乃木火怒蘭の事を考えていたんだよ」
「へぇ…でそれがどうし」
「まだ気づかないのかい?私達は共に桃乃木火怒蘭の事を考えていた。その考えた後、急に昭和の時代に飛ばされた。そして最後にあの謎の少女白房の話。桃乃木火怒蘭の情報集め」
「桃乃木火怒蘭が何か鍵を握っていると…?」
「まぁ…そうだろうね。でも私はそれよりも、 そこでコソコソしている。小いちゃい後輩君が気になるね」
黙裏の方には扉の前でコソコソ聞いている佐渡味喰がいた。
「おまっ…なんでここにいんだよ」
「わっ…私だって関係者ですし…混ぜてください」
「いや…うんまぁ関係者ではあるな」
「そうだね。そこに座ると良い」
それから俺達は、3人で話を進めた。
「私は…教室にいました。ただ桃乃木先輩の事は考えてませんでしたよ?」
「ふぅん…では何をしていたのかな」
「はい。ちょうど教室に飾ってあった絵を見てたんです。うちの教室すごい絵を描くのが上手い人がいて、白椿避雷って言う女の子なんですけど」
「しろつばき…?聞いた事ない名前だな」
「あっ…はい。一月前に転校してきたばっかで、しかもあんまり人と話さないから、知らないかもですね。金髪で可愛いですよ」
「少しその絵を見たいな。案内してくれるかい?」
「はい。あ…でも鍵」
「スペアを持ってる。行こう史春」
「あぁ…俺がいなくても話が進んで行くな」
「まぁ…私は頭が良いからね。普通の人よりは」
苛つく台詞だ。
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