第2話 昭和から白亜紀への電話

「これ見なよ。丹頂型の電話ボックスだ」

そうこの電話ボックスは、俺達の知る全面ガラスの物ではなく、古臭い丹頂型だったのだ」

「一度校庭を出てみたけど…これはすごいね。まるでクレ○ンしん○ゃんの映画みたいだね。オトナ帝…」

「タイトルを言うな。しかし本当だな。まるで昭和だ。いや多分昭和なんだろうな」

そう俺達が校庭を出ると周りには見慣れた物はなく。テレビや写真等で見た様な昭和の風景が広がっていた。

「タイムトラベル…というにはあまりに感覚が無さすぎる。でもこの風景を見ると…タイムリープした!としか言いようがないね」

そんな話をしているとジリリリリン!と公衆電話が鳴った。

「公衆電話って…鳴るのか?」

「まぁ…電話だからね。出るかい?」

「…あぁ…」

俺が心臓を大きく鳴らしながら受話器を取ると。

「SOS!SOSです!助けてくださぁい」

見知った女子高生の声がした。俺は受話器を静かに置いた。

「え⁉︎いやちょっと誰だったんだい⁉︎」

「誰も出なかったよ…うん」

俺がそう言うとまた受話器がジリリリリン!と鳴り出した。ジリリリリン!ジリリリリン!ジリリリリン!ジリリリリン!ジリリリ

「えぇい!やかましい!何でお前が電話に出るんだ佐渡!」

俺は受話器を取り怒鳴り散らかした。

「ひえぇ…そんな事言わないでくださいよぉ…先輩の大事な大事な後輩じゃないですか」

そう、この声の主は俺の高校での後輩、佐渡味喰。ちょこんとしているが色々な男を誑かしていると噂のビッチな後輩だ。

「いいからとっとと理由を言え!SOSっつたろうが!」

「史春…その辺にしてあげたらどうだい?その子佐渡さんだろ?」

「え…!黙裏先輩もいらっしゃるんですか?てかお二人今どちらにいらっしゃるんです?」

「わからん…ただ確実に令和ではないことはわかる…というかSOSについて話せ!」

「あっ…そうでしたね。コホンッ…SOSです!SOSです!助けてくださぁい」

振り出しに戻った。

「今なんか学校が、森の中なんですよ!なんかジャングルみたいな。てかなんかでかい恐竜みたいなのがいるんですよ!SOS!」

ジャングル…?恐竜?こいつは何を言っているんだ?

「ジャングルって…てかお前は今学校の中なのか?」

「当たり前じゃないですか!ただなんか皆いなくて。私だけ学校に取り残された感じで、窓の外からは恐竜見えるし!てか今先輩どこなんですか!助けてくださいよ!」

俺達の前からは学校が無くなったのに佐渡の方には学校がある。どういう事だ?

「おい…とりあえず恐竜に見つからない様に他の生徒を探せ!分かったな」

「わっ分かりましたけど先輩達今どこにいるんですか⁉︎」

「昭和だ」

そう言って俺は受話器を置いた。

「えーと…ジャングルがどうとか言ってたけど…こっちは昭和であっちはジャングル。関係性無さすぎじゃ無い?」

「そんなことはないと思いますよ?どっちも空気は美味しいですし」

「いや空気が美味しいって…」

いやおかしい。ここには黙裏と俺しかいないはず。じゃあこの声の正体は?

「君は誰だ?」

黙裏が聞いた。俺より先に。

「私は山吹雪学校の3年生。白房灯无愛と申します。まぁ皆様の大大大先輩という事ですね。どうぞお見知りおきを」

銀髪の美少女は不敵な笑みを浮かべた。

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