あいつやべーよまじべーよ!(もうまじでやばいんだよ…なんかほら…あれだよ…とにかくやべーんだよ!)

ベニテングダケ

第1話 やばいあいつ

俺、鷹也史春は犯されていた。ある問題に犯されていたんだ。そうここは俺の様な高校生が通う私立山吹雪高校。そこの図書室の窓際の席に俺はいた。

「あいつ…まじやべーよ」

俺が何故ここまで悩んでいるかというと、あれはそうつい四時間前に遡る。

「転校生を紹介するぞ」

今朝のホームルームでちょっとダンディな先生がそう言った。すると何人かの生徒がわちゃわちゃしだした。あの…あれだ、学園漫画の一話とかで、転校生が来た時のあのわちゃわちゃだ。

「入りなさい」

先生がそう言うとバンッと音が鳴り教室の扉がガンッと倒れた。俺達が圧倒していると一人の女子高生が歩いてきて、黒板の前で止まった。

「あ…あの扉」

あのちょっとダンディな先生(おっと少し長いのでここは省略して先生Dとしよう)が驚きながらもその女子高生に聞いた。すると女子高生は一歩俺達の方に出て、こう言った。

「佐賀県から来ました!私の名前は桃乃木火怒蘭(もものきひどら)!天才女子高生です!」

やばいやつが来た。

という訳だ。漫画やアニメで見ると面白く感じる物だが、現実で見るとやばいくらい引くものだ。

「おや…悩んでいるね史春。恋のお悩みかい?」

俺が悩んでいると後ろから眼鏡美少女がやってきた。赤い眼鏡に緑の髪の眼鏡美少女がやってきたのだ。こいつは黙裏弐巫(もくりにふ)成績トップの秀才だ。

「うん…よく分からないが説明された様な気。がしたよ。まぁいいや。お悩みかい?」

「察するな。悩みって程でもないけどな。今日来た転校生の事をな」

「あぁ!あの扉を蹴り飛ばして開けた桃色髪の美少女だろ?面白いよねぇ」

「呑気だなぁ。つかお前も割と面白いけどな。4月にゃハーバードだろ?おめでとう」

そう俺達は3年生。しかももう2月と来たもんだ。そろそろ卒業シーズンなのだ。そう考えるとあの転校生が今の時期に来るのは大分可笑しい。

「ありがとう。でも驚いたよね。本当に何で今来るんだろう。しかもあの子もハーバードに来るんだよ」

「そうそうハーバードハーバード…え?そうなの?」

「あぁ。あの子もハーバードに来るらしい…さっき先生が言っていたのを聞いたんだけど…首席で合格らしいよ。この私でも首席は無理だからね」

「あんなやばいやつがねぇ…ってそれより昼休みもう終わるじゃねぇか。俺先行くわ」

「あぁ…それなんだけどね?どうやら授業はもう無いみたいなんだ」

「は?うちの学校は、今日も元気に16時までだろ?何言って…」

そう言って扉を開けると。

「…は?」

廊下が無くなっていた。いや正しくは扉の外が校庭だったのだ。

「…おい。これどういうこと」

そう言って黙裏の方を見ると図書室にはあんなにいた学生はおらずただ黙裏の姿だけがあった。

「どうなってるんだろうねぇ…ここは3階だっていうのに」

「お前何で知ってたんだ?こんなことになってるって」

「ん?いや…理科室から出たらこうなっていてね。一度理科室の方を振り返ったら図書室になっていたんだ。やばいだろ?」

「あぁ…まじやばいな」

「とりあえず校庭に出ないかい?調べなければ始まらなそうだし」

俺は頷き、黙裏と共に教室を出ると扉が空に飛び、俺達の周りには校庭のみが残った。

「とりあえず二話に進もうか?」

「メタいな。二話に続く!」

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