第24話 ユニットマン・機攻隊

「本当に、異世界ってあったんだ…………」


数分経った今でも信じられない、あの戦闘が現実だったなんて。

その考えを、自身が装着する《ユニットマン》が否定する。


俺は、宇宙人と地球人のハーフ、だそうだ。

笑えるよな。

今まで少しだけ運動できると思っていた自分が、人外だなんて。


「笑えるよな、ほんと…………」


変身ヒーローは、嘘まみれだった。


世界に悪も正義もなかった。

ただ、それぞれの「おもい」があっただけだ。

戦争も、金も、それを叶えるための手段に過ぎなかった。

変な話だ。

学校の授業では戦争はいけないことだと教えられるのに、政府の一部では戦争をやりたい者たちが牙を研いでいる。

自衛隊だって、〝戦力〟という点においては、他国の軍隊と何ら変わらない。


だが、その軍隊に助けられた者も少なくはない。

震災で孤児となった者、その中には自衛隊に助けられた者もいるのではないか?


多面的なのだ、この世界は。


―――――全てにおいて。


「なぁ、アリスさん」

「なんでしょうか」

「機攻隊って‥‥どうやったら入れる?」

「もう既に条件はクリアしています。あとは入隊試験に合格するのみです」

「そうか」


―――――俺は、本物の〝英雄(ヒーロー)〟になってやる。


それがたとえ、異世界人にとって〝巨悪〟であったとしても、俺は俺の大切な人たちを守り抜く!


俺は、異世界の敵になる。

殺し合うのかもしれない。

殺されるかもしれない。


この世界を捨てた裏切り者がいるかもしれない。


ただ、明日を掴むために。

希望を見るために。


―――――戦うのは罪ですか?


「‥‥全部、背負ってやる‥‥」

「どうかされましたか?」

「いや‥‥なんでもない」

「そうですか。それでは‥‥日本機攻隊の総本部に案内いたします。私の手を握ってください」

「‥‥?」


言われた通りに手を握る。


「転送」


視界が揺らいだかと思うと、次の瞬間‥‥


「どこだよ‥‥ここ‥‥」


近未来風の基地の中にいた。


「ようこそ。機攻隊日本本部へ」


アリスは笑みを浮かべて


「改めまして、私はアリスと申します。どうぞよろしくお願い致します。旦那様(マスター)」


「…………マスターだあ⁉」

「そう、彼女はお前の嫁さんだ。ヒイロ」

「…………父さん⁉」


そう、このヒゲ面のおっさんこそ俺の親父‥‥


「お久しぶりです。義父さま」

「お、お‥‥何やってんだ親父ィ!」

「にひひ」


結城浩司である。



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