第23話 ユニットの光翼

「なんだ……今の音…………爆発……?」

連れてこられた謎の場所で聞こえた超デカい音。

爆発の中心では、この世ならざる者が炎の中で笑っていた。

「あれー、もう終わり?僕直々に来たのにー」

アルテイシア王国副騎士団長、カーズ・ユーリウス。


「何なんだよ、いったい!」

「いいから来てください!」

アリスに手を引かれ、廊下を駆け抜ける。

「ここです」

その扉には、UNIT01と書かれていた。

「我々は、ユニットと人類の技術を融合させ、ある兵器を造りました」

「兵器……?」

「《特防兵器》と呼ばれるそれは、特殊なエネルギーを使用して敵を殲滅する、国家規模の武装です」

つまり、戦争で使われる核ミサイル等と同じクラス。

アリスがカードをドアに読み込ませると、ゆっくり扉が開く。

「そして、《特防兵器》の中で単機での国家防衛を想定された《国防兵器》。しかしこれは、単機で世界そのものを守るために製造された、《界防兵器》です」


部屋の中には、一つのカプセルがあった。


「《界防兵器》は全部で7機存在し、プロトタイプの《ユニットゼロ》。近接戦用の《ユニットシード》。無数の刀剣の換装を想定された《ユニットソード》。遠距離殲滅能力が高い《ユニットレイザー》。マッハ5を超える速度で動ける《ユニットソニック》。放電能力重視の《ユニットアーク》。次元突入が可能な《ユニットエース》……貴方が着るのは汎用性、戦闘能力を最大限高めた《ユニット》の専用のスーツであるこの…………《ユニットマン》です」


カプセルが開き、そのスーツが解き放たれる。


「ユニットマン…………」


シルバーのスーツ。

「これ、どうすればいいんだ…………?」

「スーツに触れてください、それで自動装着されます」

「…………分かった」


俺は、それに手を伸ばした。

その胸に触れた瞬間、形状変化したスーツに包まれる。


「あれー、誰もいないー?」

侵入者である異世界人は、基地内を歩いていた。


その時。


「お?」

天井が崩れ、侵入者を電気が襲う。

「…………何だい、君は」


異世界人に聞かれ、俺はこう答える。


「………俺は、地球人だ」

「ふーん、ま、死んでね」

侵入者の周囲に炎が現れ、それがヒイロを襲う。

「―――セアッ!」

助走をつけて中に飛ぶ。

左右の腕に装備されている《プラナリオンサブスラスター》で加速し、スラスターから放出される《流動電子》で炎を切り裂く。

『私が指示します。その通りに』

「分かった!」

炎がヒイロに接近する。

『電磁シールドを開きます、両拳を地面につけてください!』

「ハアッ!!!!!!!!」

水色のフィールドが展開され、ヒイロを守る。

「遅いよ」

瞬間、ヒイロの体を衝撃が襲う。

「ぐっ…………!」

すると、侵入者は笑う。

「炎使いだからって、接近戦が出来ないと思った?」

炎を拳に纏わせ、構えている。


「そうだな……アニメのセオリー通りにはいかないか…………!」

『近距離で瞬間最大火力をぶつけるのが最善手です。メインスラスター、起動!』

その声が終わった後、スーツの背部にあるメインスラスターから《流動電子》が放出された。

それはまるで、翼のように。


「光翼………?」

圧倒的な《量》に気圧された侵入者は、一歩下がる。

『右手首にある小さなハッチを開けてください!』

「ハッチ…………」

摘まんで開くと、赤いON/OFFボタンが。

『ONにして下さい、そして合図したら、右手をなるべく敵に近づけて下さい!』

「………ああ!」

『…………今です!』

「セアアアアアアッ!!!!!!!!」

光翼で加速し、ソニックブームを連れながら奔る。

「くそぉ…………」

侵入者は狼狽えながら炎を放つ。

「うおおおおおおおおおおおおおッ!!!!!!!!」

『プラナリオン光線!!!!!!!!』

直接触れた瞬間。スラスターが停止し、全エネルギーが右手に集まる。

そして放たれた流動電子収縮砲は、侵入者を喰らった。

「仕方ない………転移!」

侵入者は、消えた。


「消えた…………?」

『元の世界に戻ったのです。異世界に』

「異世界…………本当に、あったんだな…………」

『ええ、魔法も』



次回第24話 《ユニットマン・機攻隊》

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