第22話 同日2029年5月7日 システムコード001《UNITMAN》
新城シンが自身の力を見つけた日。仲間を、大切な人を守る力を手に入れた日。
同じ日に、もう一人。
大切な運命を掴んだ少年がいた。
26年前。
この日本に、一種の宇宙種族が飛来した。総勢32名(体)。
彼女らは《ユニット》(彼女らの言葉で『人族』を意味する)と名乗り、地球人との接触を果たした。
地球に伝えられた多くの技術は、発展へと繋がった。しかし彼女らは技術を持っていながらも《娯楽》を持っていなかった。地球の娯楽、テレビや漫画、ゲームやスポーツなどを知った彼女たちは、地球にドップリ浸かっていた…………。
偶然にも彼女らの姿は地球人とほとんど同じ。唯一違う点は、すべての個体が黄金の髪に青い瞳の美女。
姿で最も大きな特徴は、極度の興奮状態、もしくは強い感情により、瞳の光が強くなる点だろう。
そして母星の重力が高いのか、彼女らの身体能力は地球の生物を大きく超えている。
それから十年後、彼女らの一人は、地球人との子をつくった――――――――――。
「…………ここ、は…………?」
少年が目を覚ますと、そこは見知らぬ天井。
「俺は、何を…………」
起き上がろうとした瞬間。
「目が覚めましたか、ヒロ」
そこにいたのは、黄金の髪に青い瞳の、女の子。
しかしその美しさよりも。
「ヒロ、…………俺は、結城、ヒイロ…………」
(そうだ…………思い出してきた………俺は、学校からの帰り道にこの子と会って、会って…………どうした?そこからの記憶が…………)
「混乱するのも理解できますが、今は落ち着てください」
その言葉に少年はハッとする。
「……………君は?」
「私の名は《アリス》。…………貴方をここに連れてきた者です」
「……アリス…………此処は、どこなんだ…………?」
彼女は端的に。
「ここは《機攻隊》。対異世界人の国連大隊です」
「国連⁉…………異世界人…………⁉」
つまりここは、国際連合公認の超国家軍隊。
「…………じゃあ、そんなところに、俺を連れて来たのは…………何故だ」
「貴方の…………母親の話です」
「母さん…………?」
そういえば、母さんもこの少女と同じ特徴…………。
「そうだ、ヒロって―――」
母さんが俺を呼ぶ時の―――――――――――――――、
「貴方の母親は、異星人なのです」
「…………はぁ?何言って…………、………っ!」
少年にも、思い当たる節があったのだ。それは、自身の人間を超越した身体能力。
「まさか、そんな…………」
「そして私も、同じく《ユニット》なのです」
「……《ユニット》って、26年前の、あの異星人だっていうのか?」
地球に突如飛来した宇宙人、《ユニット》。
教科書に載るほどの大事件。しかしその後、なんの話も聞かなかった。
「秘匿されたってわけか…………」
「その通りです。そして貴方には、戦ってもらう為に来ていただきました」
「戦う…………?何と……何で俺が…………?」
少女は表情を変えずに続ける。
「言ったでしょう。異世界人、と」
「ちょっと待て、異世界って、ホントにあるのか?」
「ええ、そして、私たちの《敵》です」
「たちって…………」
「彼らは、地球だけではなく、この世界そのものを滅ぼそうとしているのです」
「…………⁉」
(滅ぼす…………⁉それじゃあ、俺はそれを――――)
「救っていただきたいのです。貴方の、その力で」
「俺が、救う…………?」
その時、大きな爆発音が響いた。
お久しぶりです。ronborutoです。
推しに監禁された件最新話、大変長らくお待たせしました。
特別編と言っている通り、このお話は次の物語の起点となるお話です。
さて、少し物語の説明を。
ここで言う異世界とは、《アイテムボックス》の異世界そのものです。
尚、このお話の中心人物は三人の少年です。
一人目は推しに監禁された件の主人公、新城シン。
二人目はアイテムボックス(レベル神)は二つの世界を繋げるの主人公、霧隠優也。
三人目は今編、《ユニットマン編》の主人公、結城ヒイロ。
の三人です。
ヒイロも特別な才能を持ち、次の話で武器を手に入れます。
三人が出会うのもすぐです。
それでは次回予告
爆発に巻き込まれたヒイロとアリスは、不思議な力、《魔法》を操る異世界人に襲われる…………。
逃げた先にあったのは、《特防兵器》の中で最強である強化スーツ《ユニットマン》。
アリスに言われるがままそのスーツに触れると、自身に強大な力を感じた。
スーツの能力を使い、異世界人を撃退。
そして彼らの、戦いが始まるのであった。
(注・少しの間だけシンとユイは登場しません)
次回・《ユニットの光翼》
新章・《ユニットマン編・世界超越編》スタート。
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