第19話 竜の意思 

「グハッ―――」

ブレイン・ストライクは、元々、紛争地域で活躍する傭兵だった。

激戦区での戦闘経験からか、敵の仕草から擬似的に未来を見て予想する特殊能力『考える者の目(フォース・アイ)』を持っている。

しかしその眼をもってしても、『奴』の動きが解らない。

「―――ッ!」

隊式剣術・雷解海星!

「――――――」

『そいつ』は大剣を振り回し、大きな風を生む。


―――竜王の抉喰壊(ドラゴンロード=ブレイク)



「………………お前は……誰なんだ?」

シンの内側。そこには一匹のドラゴンが。

「グルルルル……」

(……俺の中……なのか?じゃあ、なんでもう一人、俺がいるんだ?)

シンには『そいつ』が自分の何かだと気付く。

「グ、ガアアアアア!!!!」

(……あれ?なにか……言ってる――?)

「―――――!……お前は、俺の―――」



―――――――――刀術・流水絶閃!


ギリギリに大剣を受け止め、反撃の太刀――。

〝雷閃〟

電撃の塊と刀を同時に叩き込む。


ライトニングシャイニング!!!!

雷撃そのものを斬撃として放つ遠距離攻撃。

「―――――ガアアアアア!!!!!!!!!!!!!」


――――竜王の滅却殺(ドラゴンロード=ノーワールド)


薙ぎ払い、触れたものを消滅させる。空気さえも。

(……息が、出来な―――)

「!」


神速の四連撃。ブレインはそれを防ぐ―――――。


そいつは、大剣を大きく振り上げ――――――――。

一振りの間に三連撃を放つ。

そして大剣そのもので放つ斬撃。この三つの術理で完成する技、それこそが―――


―――――竜王の血飛沫(ドラゴンロード=ブラッド)


ドガガガッ!!バキィ!


刀が折れた。もう―――。


『スーツ・強制装着』

「⁉―――まさか……」

壁から射出された黒いスーツが、ブレインの身体を覆う。

そして右手には、

ソルジャー1st専用スーツ・黒影

専用武装・《エクスカリバー》


「……………………」

「――――――――」

互いに大剣を両手で掲げて―――。


「――――――――エクスカリバー!」

―――――――――――竜王の殺血


雷を纏った単発上段と、殺意を纏った紅の連撃が衝突する。


九連撃の先に、『奴』は『肉体』が出せる限界の、その先へ―――


竜王の百頭殺し(ワンハンドレッド=ドラゴンロード)


正に百連撃。この訓練場を埋め尽くす剣撃。




「――――――――ああ、そうか……お前は、俺の――――」


百撃目は、竜が、飛んでいく。


「可能性か」

理解した意識世界のシンの右手に、黒い片手剣が握られた。

「―――――行くぞ」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る