春夢(しゅんむ)の花

春がやってくる

小鳥が鳴く

柔らかい日差しのもとで

僕は背伸びと欠伸をする


風が髪を揺らす

窓際に腰かけて光を浴びる

いつしか僕の意識は

遥か彼方へ


自転車を走らせ

道を抜けた

しらさぎの城を横目に

駐めて歩いていく


咲き誇る桜が

風に揺れ 花と散る

穏やかな時間を

ありのまま 見たままに切り撮った


そうだ あれは

ちょうど一年前のこと

あの時 僕の隣には

あの人がいたんだ


あの人はもういない

元気にしているだろうか

追いかけたうちに

目が覚めた


今 僕の隣には

夢に落ちた君がいる

そうだ 君が目を覚ましたら

もう一度あの場所へ行こう


散る桜の花片はなびら

あの日の記憶の欠片となり

期待と不安と慕情となり

僕の心を敷き詰めた

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