2.6

君を呼んだ

あと一時間

いつものことさえ

手につかない


君を呼んだ

あと三十分

待つ間 歌う声は

震えている


君を呼んだ

あと十分

何と言おうか

今更だけど考える


君を呼んだ

あと0分

声無き声で

叫びたくなる


君を呼んだ

君が来た

「塾休んだ」

そう言って鞄を下ろした


君が来た

五分経った

廊下の人通りに

少し怯えた


君が来た

十分経った

「本題に入ろう」

ついに聞かれてしまった


そこで僕は

一息ついて

精一杯

言葉を紡いだ


差し出された手を

そっとつないでみる

君のほうがつめたかった

それで良かった


君が来た

三十分経った

実感のない僕たちは

いつものように駄弁る


君が来た

一時間経った

「もうちょっとだけ」

同じこと思った


君が来て

一時間とちょっと

交差点で

「また明日」


帰りのコンビニで

買ったレモンティー

君のほうがつめたかった

それが良かった

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