テトラポットでまちあわせ。
水神鈴衣菜
本文
男子高校生、
なぜ死のうとするのか。理由など、探せばいくらでも出てくる。色々なことが絡みに絡み合って、彼を死にたがりの海の亡霊にしていた──否、死んでいないのだから亡霊と呼ぶのはおかしいのだが。
今日こそは死のうと、彼はそう決意して、いつもは眺めて終わる海の水面をギッと睨みつけ、波が打ち付けるコンクリートを蹴って海へと落ちた。体に衝撃が走った。彼は水面のこの硬さが嫌いだった。
しばらくしても全く苦しくならないのを不思議に思いながら、碧は波に揺られていた。海水が目に入っては痛いからと、目をギュッと瞑って。段々と体が冷えてきたと思った時、バシャバシャと波をかき分けて近づく音がした。なんだろうと思いながらそれを聞いていると、ぐっと肩口を掴まれて碧は引き上げられた。
次に碧の耳に入ってきたのは、少女の大きな声。
「ちょっと、何してるの!」
「……なに、って」
見て分かるでしょ、と碧はぼそりと答える。
「ここ、分かる? 私が足つくくらいには浅瀬なのよ。死ぬにも溺れることもできないじゃない」
そう言われて碧が足元に目線を落とすと、たしかに碧の肩口を掴んでいる、それほど大柄でもない彼女でも、水によって膝が隠れるほどの高さしかなかった。なるほど、だから水に沈んだはずが体を突き抜けた衝撃はプールで感じるそれとは違ったし、全く息が吸えずに苦しくなることもなかったのか、と彼は納得した。
「……僕、泳ぐの苦手だし」
「そうだとしても、全然顔水に沈んでなかったじゃない。しかも浅瀬だからさしてサラサラでもない砂浜にぶつかったんじゃない? 体痛くない?」
なぜこいつは初対面の人間にここまで色々と世話を焼けるのだろうと彼は少女の顔をまじまじと見つめた。
「ねえ、なんとか言ってよ」
ばちっと目が合う。女子とこうして近くで目線を交差させるなど、いつぶりだろうか。碧の心拍数はどっと上がった。こうして死に損なった状況、そして助け出された相手にもそうなってしまうのだから、全くつくづく自分は男なのだと呆れる。
「……お前のせいで死に損なった」
「確認不足な自分を恨むといいわ」
ほら、上がって、と少女は碧から手を離し浜へと上がっていく。碧はそのまま水に浸かっているのも嫌な気分がするので、なにも言わずに彼女について行くことにした。
「はい、タオル。小さいけど体拭いて」
「……あ、りがと」
「ん」
クリーム色に、ピンクのデイジー。いかにも女子が使いそうな、可愛らしいタオルだ。碧がベストを脱ぎ始めると、少女は目を丸くして慌てた声をあげた。
「ちょっと、ストップ!」
「……なんで」
「わたし、おんなのこ!」
少女は一文字ずつ区切るように言葉を発した。碧はそれが意味するところがよく分からなかったらしく、訝しむような表情をして、だから? と返した。少女はそれにますます驚き、再び声をあげる。
「あんた……! 異性の前でよくそんな簡単に上裸晒そうとできるのね!」
「別に、シャツまでは脱がないし」
「濡れてて透けるじゃない」
「大声出さなくたって、見なきゃいいだけじゃないか」
「と、唐突だったからびっくりしたのよ!」
「うるさい……」
碧ははあ、とため息をついて、借りたタオルで体を拭く。こんなうるさいやつがいたものだと呆れながら。
しばらくして、少女が碧に話しかけてきた。
「ねえ、名前は?」
「……僕?」
「あんた以外にいないじゃない」
「僕は、碧」
「あお、漢字は?」
「王に白に石」
「ああ、碧眼の碧ね。綺麗な名前」
「お前は?」
「私は瑠梨」
「るり、ね」
「漢字は、瑠璃色の瑠に梨」
「画数多いな、大変そう」
「テストの時はいつも出遅れてるわ、おかげさまで」
肩をすくめながら言うような声色で、瑠梨はそう言った。言うような、という言い回しなのは、碧が直接それを見ていたわけではないからだ。
「……なんで、死のうとしてたの?」
「なんで、ね。色々だよ」
「そう、なんだ」
「疲れたんだ」
「生きることに?」
「そう」
しばらく、二人の間に沈黙が流れる。碧は立っているのも疲れたので、瑠梨の横に座った。
「お前は、なんでこんなところにいるんだ?」
「私? 待ってるの」
「誰を」
「……ここでいなくなっちゃった人」
「……ふうん」
思ったよりも重い解答が返ってきて、碧は少々気まずくなる。どうしたものかと思っていた時、瑠梨の方が口を開いた。
「もう、帰ってなんてこないって分かってる。でも何か、服のひときれ、靴の片方、そんな小さいものでもいい……持ってたものが何か、ここに返ってきてくれるんじゃないかって、ずっと待ってるの」
「……見つかったのか?」
「ううん、なんにも」
その声は、悲しそうな、けれどもうすっぱり諦めていると言いたげなものにも聞こえた。
その日は、それっきりだった。ずっと二人で潮騒を聞いていた。二人の間には会話はひとつもなかった。碧は、嫌いな水も意外と綺麗なんだなとなんとはなしに思いながら海を眺めた。
「……僕、帰る」
「あら、そう。またね」
「なんで、またねになるんだ」
「明日も来るでしょ? ここ」
「なんで」
「なんとなく。学校にも家にも、居場所無さそうだし」
どうしてこいつはこんなにも、初対面の人間に失礼なことがほざけるのだろうと少々顔を引きつらせながら、だが否定はできないので碧は黙っていた。
「……約束しようよ」
「明日もここに来ることを、か?」
「そう。『明日、テトラポットで待ち合わせ』ってね」
「ここ、テトラポットじゃない」
「すぐそこにあるんだからいいじゃないの」
瑠梨は不服そうな声をあげた。碧はというと、約束も悪い気はしないとちょっとだけ笑っていた。
「分かった、テトラポットで、ね」
死に損なったあげく、助け出してくれてしまった相手と再び会うことを約束する。おかしな話だが、碧は疲れきった生に理由ができてしまったなと、心做しか軽い足取りと共に家へ帰って行った。
* * *
次の日。
「ああ、約束通り来てくれたのね」
「……そりゃ、約束だから」
「意外と律儀」
「お前が勝手に約束したんだ」
「なによ、満更でもなさそうに笑ってたくせに」
「な……」
自分でも顔が綻んでいたことは分かっていたが、他人から指摘されたことで碧は途端に恥ずかしくなった。
「余計なこと、言うな」
「見たままを伝えたまででしょう」
「……殴るぞ」
「あらまあ、私が警察に駆け込めば貴方はすぐに豚箱の中ね」
碧はちっと舌打ちして、瑠梨の横に座った。
「素直ね」
「うるさい、応酬をするよりはマシだと思っただけだから」
「そう」
碧は、どうして来てしまったのだろうかと思い大きなため息をつく。その直後、瑠梨が口を開いた。
「碧の目って、綺麗よね」
「は? 唐突に何」
「こっち見て」
有無を言わさぬその声色に、碧は驚きつつ瑠梨の方を見る。
「ちょっと青みがかってる黒。でも、紺色じゃない。不思議な色──夜の海みたい」
「そんな、実況みたいに言われても分からない」
「陽の光の下だからなのかな、それとも元々の目の色が……」
瑠梨はうーんと唸りながら碧の瞳をずっと覗き込んでいる。真剣な瑠梨の瞳から、彼も目が離せなかった。色素が薄いのだろうか、少々茶味がかっている。まつ毛、長。目、結構でかいんだな。うるうるしてる──そんなことをぼんやりと思いながら、ずっとうるさい心臓を無視していた。
「うーん、まあどっちでもいっか。綺麗なことには変わりないし」
「そ、そうか」
「名前に合って、綺麗な目だわ。死にたがってる人間には見えない」
「……ありがと」
「照れた?」
「黙れ」
「お前、どこ高?」
「え、制服見て分からないの? 貴方の隣の学校よ」
「……お前、なんで会うのが二回目の人間にそんな口きけるんだ」
「さあね、こういう話し方しかできないのよ」
「気の強いやつ」
「よく言われるわ」
碧は、海に向けていた顔を少しだけ動かし、瑠梨の顔を覗き見た。ぼんやりと海を見る瑠梨はなんとなく、傷ついたような顔をしていた。
「……ごめん」
「何よ、急に」
「気が強いとか、あんまり言われるの好きじゃないんでしょ」
瑠梨は少し目を見開いて、それから目線を海へ戻した。
「……気づかれたの、二回目」
「ふうん」
「こんなことばっかり言ってるし、口調も相まって高飛車お嬢様気取りかよって、よく言われるの。これが通常運転なのに、みんな作ったキャラだと信じて疑わない」
悲しそうに、彼女は目を伏せる。
「おかしい話だと思わない? 私は普通に生きているのに、みんなからは普通と見なされなくて」
「……そんなもんでしょ。周りの人間は三種類。分かってくれるやつ、分かってくれないやつ、分かろうともしないやつ。それぞれ一割、三割、六割くらい。分かろうともしないやつらは、お前を分かっている人間よりも多い分かってくれない人間の言っていることを信じてお前を見る。こういうことだよ」
「そう、かしら」
「そうだよ。少なくとも僕はそうやって思って生きてる」
「死にたがってたくせに」
「うるさい、関係ないだろ今は」
「……ありがとう」
ふと瑠梨が碧の方を向いた。彼女は、目を潤ませて、困ったように眉を八の字にし、ほんのり口角に笑みをたたえていた。それに、碧の心臓は、紛らわしようもないほどに大きく高鳴った。美しい、儚い、かわいい。この景色を形容する様々な言葉が碧の頭に飛び跳ねる。
しばらく時間が過ぎた、気がした。実際現実でどのくらい時間が経っているか、瑠梨にとってこの時間がどのくらいの長さに感じられているのかは分からない。碧にとって長く長く、とても長い一瞬だった。ほろり、と。瑠梨の頬にクォーツが零れた。
「っ、泣い、──」
「えっ、あ」
瑠梨は自分が泣いていたことに気づいていなかったのか、そう言われてわたわたとした。
「違う、違う……嬉しかったの、気が強いって言われるのは、いつもの事だから、そんなに気にしてなくて」
瑠梨はあはは、と乾いた笑いをあげた。その声すら語尾は揺れている。碧はいても立ってもいられず、彼女にハンカチを差し出す。
「あ、ありがと……」
彼女はゆっくりと涙を拭く。何度か鼻を啜りながら。ゆっくりと息をする。大きく、ゆっくり、涙の気配を体から逃がすように。
「はあ……、ありがとう、落ち着いたわ」
「……どういたしまして」
「ねえ、あなたは私といて嫌じゃないの?」
「なんで?」
「だって私、こんな感じだから」
「初対面だとか二回目に会った人間に聞く口じゃないとは思うけど、それを言ったら僕も失礼な物言いはしてるし。別にそんな気にしないけど」
「……そう」
瑠梨は小さく返すと、口角をくっと上げた。
「ありがとう」
「何回言うんだよ」
「思う度に言うわよ」
「律儀だな」
「守らなくてもいい約束を守ってここにいるあなたに言われたくないわね」
「うるさい」
* * *
「碧って、海が苦手なの?」
何度来たか忘れてしまうほど時が過ぎた、初冬。海辺は寒かった。そんな日に、瑠梨は唐突に碧に投げかけた。碧はなぜ気づいたのだろうと面食らいながら返答する。
「……どちらかというと、水が苦手」
「ふうん、猫みたいなこと言うのね」
「僕は人間だけど」
「『みたい』としか言ってないじゃない」
呆れたような声で、少し唇を尖らせてそう言う瑠梨。最近は色々な顔を見せてくれるようになったなと碧はふと思った。
「で……なんで、水が苦手なの?」
「なんで、か。ずっと昔にスイミングスクールに通ってたんだけど、泳げなすぎて恥かいた記憶がトラウマなのかも」
「へえ、案外かわいい理由」
「馬鹿にしてるのか」
「してないわよ、私も泳げないから」
「……そう」
瑠梨も泳げないのなら、まあいいかと碧は思った。
「泳げなくて恥かいたし、学校のプールでも恥かいたし、なんなら溺れそうになった」
「プールの授業、私も苦手だわ。みんな泳げるのが当たり前みたいに授業が進むんだもの」
「ほんとにそう。僕も泳げるなら泳げるようになりたかったよ」
「私も。……そうであれば、ここで人を亡くすなんてこと、なかったのに」
沈んだ声になった。碧はそれにはっとして、まずったなと思った。
「……ごめん」
「何突然?」
「嫌なこと思い出させた」
「いいのよ、そのおかげ……って言ったら失礼だけど、碧に会えたんだから」
少しだけ寂しそうな顔をして、瑠梨は微笑んだ。
* * *
それからも、碧と瑠梨は何度も約束をした。「テトラポットで待ち合わせ」と、会う度に言った。そんな毎日の中、ある暑い夏の日のことだった。
その日も碧は、いつもの海辺に向かっていた。碧が入水自殺しようとしてから約一年が経つ。あの日も暑かったな、と思い出す。あの頃嫌いだった海も、今は見れば美しさが眼前に広がる良い場所になっている。それに、彼が海を見る時、その隣には必ず瑠梨がいたから。彼女のおかげで、彼は海が好きになれた。
いつもの堤防には、瑠梨の姿があった。だが、いつもとは違って、彼女は小さな花束を持っていた。それを小脇に抱えて、彼女は目を閉じて手を合わせている。
「──
「……誰? 浅葱って」
我慢ならずかけた声は、瑠梨の肩を跳ねさせた。
「びっくりした……来てたのね」
「ねえ、質問に答えて」
「浅葱さんは、私がここで亡くした人よ」
「そうなんだ」
「今日が、二回忌なの。ごめんなさい、来る前に終わらせようと思っていたんだけど」
「別にいいよ。終わるまで待ってる」
何を終わらせるのだろうと思いながら彼女を見ていると、瑠梨は花束のリボンをするっと解き、花を海に投げ入れた。献花のような意味合いなのだろう。花はふわふわと、海に漂った。
「はい、終わった。お待たせ」
「……浅葱って人、どんな人だったの」
碧がそう聞くと、瑠梨は優しい顔をした。
「浅葱さんはね、中学の時の私の先輩なの。部活の先輩」
「お前、何部だったの?」
「テニス部」
「ふうん。それにしては肌黒くないんだね」
「もう四年前くらいだから。四年もあれば肌の色くらい元に戻るわよ」
変なところ聞くのね、と言った声に碧はうるさい、と返した。
「まあいいわ、続き……浅葱さんは、優しい人だった。私にも皆と変わらず接してくれていた、皆が私をお嬢様気取りだと言う中で。それがどれだけ私を救ったか」
瑠梨は目元を綻ばせてそう言った。その声には、愛おしいと言いたげな響きが含まれているような、碧にはそんな風に思われた。初めて聞く声──いや、そうではない。以前、彼女が『気が強いと言われるのが苦手』と言われたのが二回目だと言っていた、その時の響きだ。最初は、その浅葱という人が。
「……その浅葱って人、お前の何なの?」
碧は、自分の口から出た言葉の鋭さに目を見張った。なんと乱暴な物言い──いや、彼にとってそれはデフォルトではあるのだが。それにしても彼女に向けたことのない類の乱暴さだった。僕は、何にイラついているんだ?
「浅葱さんは、私の恋人だった人よ」
それを聞いた瞬間、碧は体温がすっと二度ほど下がった気がした。恋人? その話を僕の前でするのか。
「優しくて、かっこいい人だった。……私が泳げなかったせいで、足を滑らせた私を助けようとして、私を沖に戻して、彼は沈んでしまった」
瑠梨はそう言って、寂しそうな顔をした。瑠梨にとって浅葱という人間がどれほど大きかったのかを見せつけられた気がした。
「……その人を、ずっと待ってるのか?」
「そう。だから、あなたを見た時びっくりしたの」
「……なんで」
「浅葱さんに似てるの」
また、体温が二度ほど下がった気がした。指先すら冷えて固まったように全く動かない──まるで死後硬直のように。それと共に、軽蔑とも言えぬ、嫉妬とも言えぬ、羨望とも言えぬ……不思議な気持ちが彼の心に渦巻いた。呼吸が浅くなる。
「髪型とか、横顔とか。もしかしたら彼が戻ってきてくれたんじゃないかって思ったの。でも違った、それは碧だった」
──僕を通して、別の人間を見ていたのか?
「浅葱さんの瞳は真っ黒なの。でも碧の瞳は青みがかってる。目元も碧の方がキリッとしてるし、話し方も全然違うし」
──なぜ僕自身を見ない?
「でも、ふと碧の横顔を見たりすると、なんとなく浅葱さんを思い出して──」
「……黙れ!」
思ったよりも、大きな声が出た。碧は後悔した。そして混乱した。自分は、何をこんな気持ちになっているのか、と。視界が滲んで、息がきゅっと苦しくなった。呼吸はずっと浅いままだ。
「……碧?」
「っ、あ」
瑠梨の顔を、碧は見ることができなかった。けれどどんな表情をしているかは手に取るように分かった──困惑と、軽蔑の瞳を向けられていると。その瞳を真っ向から受けることが、彼にはできそうになかった。
碧は、逃げ出すように踵を返してそのまま家へ帰った。自らの行動を悔やみ、理解しようとしながら。
* * *
それから、ほとんど毎日訪れていた堤防には、二日に一回、一週間に一回、三週間に一回、と足が段々遠くなっていった。わざと瑠梨と会える時間とはずらして堤防に行った。彼女を見かけたらそのまま踵を返しもした。
彼は、これ以上傷つくのを恐れた。自らのあの行動の理由には、既に見当がついていた。
碧が久しぶりに堤防を訪れた時、瑠梨はいなかった。だがその代わりに、いつも瑠梨が座っていた場所に一つの封筒が置いてあった。重しに、真っ青なクリスタルのようなものが置いてある。サファイアみたいだな、と碧は思った。また、これは『碧』であって『瑠璃』であるとも。表面には、「碧へ」と書かれた封筒だった。碧は青い石を手に収めポケットに入れ、それから手紙を拾い上げ、封を開けた。
『碧へ
結局会えないままこの日になってしまいました。私は引っ越します。海の無い県に。家族は、海に執着する私を、海から引き剥がしたいんと思う。
突然になってしまってごめんなさい。最後にもう一度くらい会いたかった。
あの堤防は私の居場所だった。私の生きる意味だった。そこにあなたが来て、共に時間を過ごしてくれた。私の命を奪いかけて、私の大切な人の命を奪った海が、私は二年前から大嫌いだったの。けれど浅葱さんを待つためにずっとあそこにいた。海を見るのが苦痛でなくなったのは、碧のおかげです。海に来ることが、義務でなくて、私のしたいことになった。あなたと過ごした一年、楽しく、海を好きになれる時間でした。ありがとう。
またいつか、テトラポットで。
それから、堤防に空いた早川瑠梨という穴を埋めるように、
テトラポットで待ち合わせる相手が、いつかきっと訪れてくれると信じて。
テトラポットでまちあわせ。 水神鈴衣菜 @riina
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます