エピローグ

サーバーがシャットダウンされる事は無かった。


「カルマ」が無効化されたとはいえ、reViveが無くなる事で社会への影響が懸念されたとか、すでにエンタメ業界から政界に至るまでAIが無くなる事での影響は致命的な域にきているとか噂されていたが、真相は不明のままだ。


サーバーは政府の管理下に置かれ、アクセスは厳しく管理される事となった。


結局、俺たちが最後に会った二階堂さんは何だったのか・・。

本人はすでに亡くなっていたのだから、AIDなのだろう。

だとしたら、第何世代に位置づけられるのだろう。

完全に超越したAID・・もしくは、精神を電脳世界に移す技術を開発していたとか・・。

今も電脳世界のどこかで人知れず生きているのかもしれない。


あとになって解った事だが、二階堂さんには昔、娘さんが居たのだそうだ。

奥さんは元々体が弱く、娘さんを出産してすぐに亡くなってしまい、男手ひとつで大切に育てていた娘さんだったが、その娘さんも不幸な交通事故で・・・。


失った家族をAIDとして蘇らせる(revive)のが彼の真の目的だったのかもしれない...。



───空蝉町の公園。


俺たちは今日も公園に集まっている。

政府公認の特別アクセス許可証も交付されていた。


剣持さんは正式に政府側に配属されたらしい。

Ken先生として、たまに俺たちの様子を見にくる。


「さぁ~て、今日は何を試そうかねぇ~」

宏がやる気満々な笑みを浮かべている。


ここ最近、Arisaを覚醒させるんだと意気込んで、俺たちが今までに経験してきた事を反芻していた。


『やはり、一樹さんの脳波がイチバンのカギとなっているようなので、我々が一緒だとうまくないのではないでしょうか。』

分析好きなNobuがそれっぽい意見を述べてくる。


「な・る・ほ・どー・・。よっし!んじゃ今日はお前ら二人でデートしてこいよ!デ・エ・ト♡」


茜は不満そうな顔をしていたが、その流れに逆らえずに俺はArisaと二人で街中を歩いてみた。

Arisaの記憶は、皆で遊戯施設で遊んでた頃までだった。


一緒に訪れた事のある場所にはほとんど行ってみたが、1ヵ所だけ行けてない場所がある。

皆でグランピングをしたあの広場・・・。Arisaが消されてしまったあの場所だ。


Arisaはあの場所からの景色が好きだったので最初に連れて行こうとしたが、俺の中ではトラウマになってしまっているらしく、胸が苦し過ぎてあの場所へ行けずにいた。


だけど、意を決してそこへ向かう事にした。

一度、皆と合流して、Ken先生に車を手配してもらった。


『あの場所、わたし大好きなんです。夕日が奇麗なんですよぉ~。』

普通のAIDに比べて、より人間らしいと言えばそうだが、最後のあの日、一緒に過ごしたArisaはこんなものじゃなかったはずだ・・。


広場に到着した時にはすでに日は傾き、夕焼けが眩しい。

皆は車を降りたところで見守ってくれている。


俺はArisaと一緒に広場の端へ向かった。

現場に近づくにつれて、蛍だろうか・・・光の粒子が周辺に集まりだした。


流石に地面の焦げ跡は消えていたが、この辺りでArisaは・・・・

光の粒子はその数を増し、Arisaを包み込んだかと思うと、彼女の中に溶け込んでいった。


そして、ゆっくりと目覚めるように顔を上げるArisa・・

その表情はかつての───。


『一樹さん、ペアリンク、しよ?』

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Project:reVive ver.1.0.1 ~リバイブ計画:仮想都市の住人たち~ あのときのほろよん @Holoyon

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