第3章 -1-
『reVive』が発表されてから数ヶ月が経過して、世の中はreViveブーム真っ只中だ。
AIDが制作したマンガや小説、楽曲が、
デザインやプログラム開発の仕事を正式に依頼する企業まで出てきている。
珍しさゆえに一過性のモノだと譲らない専門家もいたが、このブームはまだまだ終わりそうもない。
むしろ、さらに加速しそうな勢いで右肩上がりの様相を呈していた。
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『どうも~♪リバイブ公式チャンネル、案内人の田淵です。今日もリバイブの生みの親、二階堂悠斗さんに登場頂いてまーす(パチパチパチ・・)』
『はい、二階堂です。よろしくお願いします。』
『早速ですが、二階堂さんに伺っていきたいのですが~、リバイブの世界って誰も亡くならないですよね。あれだけ現実を模した世界なのに、車にはねられても怪我ひとつしないのは何故なんでしょうか。』
『えーっと、まぁ、色々と事情はありますが、端的に言うと、どう育っていくのか観察しようとしてるのに、死んじゃったら困るじゃないですか。』
『そー・・ですね、はい。・・え? それだけですか?』
『はは(笑)まぁ、人間ぽく育てようとするなら「死」という概念も避けて通る事はできないのですが、今の段階ではまだ必要では無いという判断で、攻撃的な要素は実装していないんです。
この先、彼らがどのように成長していくのかを慎重に見守りつつ、新しい概念を追加していく予定はあります。「死」については、どういうタイミングで組み込んでいくのかはまだまだ慎重に検討していく必要があると考えています。バトルゲームでは無いので、ね。刺激が足りないと感じられる方もおられると思いますが、彼ら彼女らを温かく見守ってあげて欲しいと思います。』
『なるほど。確かに、そうですね。えー先日、全国的に発送された「reVive Dream Scope(リバイブ ドリム スコープ)」ですが、沢山のご応募ありがとうございました!モニターに当選された方々は既にリバイブの世界に没入頂いているようで、様々な動画もアップしてくれていますね。中にはちょっとやんちゃ系な方もいるようですが、是非ですね、AIDたちと仲良くして、楽しんで頂けたらと思います!』
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『おーっと!あぶなーーーい!』
(サラリーマン風のAIDが車道に飛び出し車にはね飛ばされる)
(ギャハギャハと下品な笑い声)
『やっぱり無傷!たくましい!実にたくましい!ブラボー! おっとそのまま駅へ向かいますのん?勤勉ですね』
(サラリーマン風のAIDを追って駅のホームへ。)
(電車が入ってくる。)
(ドンッ!と押し出す手が映り込んでいる。)
『あーー!またまたピンチだーー!これはヤバイか?』
(またギャハギャハと下品な笑い声)
(電車にはね飛ばされたAIDはホーム側に転送されて項垂れた姿勢で動かなくなった。)
『これは?召されるのか?天に?召されてしまうのか?』
(AIDの周辺を「Restoring...」と表示されたリングが浮かぶ)
(しばらくして、サラリーマン風のAIDは普通に活動を再開する)
『やっぱ無敵でしたー!』
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AIDに悪戯している動画だ。
転ばせようと足を引っかけたり、信号待ちのAIDを車道に押し出したり、
階段から突き落としたり・・見るに堪えないものばかりだ。
AIDは死なないが、ダメージステータスみたいのがあるようで、瞬間的に大きなダメージを受けると「復旧モード」になる。
この状態を「召された」と表現して楽しんでいるのだ。
あいつら、マジでヤバい奴らだったんだな...。
最近、この手の配信動画をよく目にするようになった。
Arisaたちはこの事を知っているんだろうか・・・。
Ken先生は頼りになるし、注意喚起はしておかないとな。
───夜、1人で空蝉町を訪れてみた。
23時を回っているので、Arisaたちに声をかけるのは自粛しよう。
何をするでもなく、まだ行った事のないエリアを散策する事にした。
リアルでも知らない街を歩くのは嫌いじゃない。
地元の駅の2~3手前で下車して方向感覚を頼りに歩く事がたまにある。
そんな感じで、見知らぬビル街を歩いている時だった。
数人のAIDとすれ違ったり、同じ方向へ歩くAIDも何人かいた。
この時間にしては人通りが多い方か?
不意に、ビルの狭間から空き缶のようなモノが転がってきた。
あまり気には留めず、踏まないように通り過ぎた。
すこし歩いたところで、背後で何かが激しく発光して『ドンッ!』という音がした。
振り向くと、爆発が起こったように歩道の一部が焦げて変色しているのが見えた。
あの空き缶が爆発したのだろうか?・・爆弾?
・・しかし、行き交うAIDたちは気にもとめずに普通に歩いていたので、あまり気にせずに散策を続けた。
───数日後、ある動画が話題となった。
慎太郎が神妙な面持ちで皆に見せる。
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(どこかの路地。空き缶が転がっていく先に、AIDが歩いてくる。)
(AIDが空き缶に触れた瞬間、爆発した。吹き飛ばされたAIDは光の粒子となって消滅していく。)
『ついにAIDが天に召されちゃいました!』
(ギャハギャハという下品な笑い声が響いていた)
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俺が遭遇した場所とは違うようだったが、あの空き缶には見覚えがある。
「最っ低ー・・」
「これって、modか何かなのか?」
「AIDって死なないんだろ?どっかで復活するんじゃないのか?」
「公式はまだ何も言ってないけど、modだとしたらそうとう悪質なヤツだよこれは。」
慎太郎が「ござる口調」を使わない時は、マジな時だ。
Arisaたち・・フレンドになったAIDたちが、あんな風に消されるところを想像するとゾッとした。
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