幕間2-1

「おーい宏ー!」


げ・・・玉将先輩だ。

また面倒な助っ人要請だろうか・・・。


児玉将臣こだままさおみ通称「玉将ぎょくしょう」。

将棋サークルに所属している先輩だ。


「明日、10時からクラウンボウル集合!な?」


「今度はボウリングっすか~?」


「おうよ。今回も囲碁の奴らをギャフンと言わせてやろうぜ!昼飯奢るぜ~」


「『ギャフン』て言ったヤツ見た事無いっすよ・・」


将棋サークルと囲碁サークルは犬猿の仲らしいのだが、

毎月、勝負だ何だと合同でイベントを開催している。

・・本当は仲良しサークルなんじゃないのか?


「宏お前、マイボールとか持ってるんだろ?プロじゃん」


「いやいや、マイボールは持ってるけどプロでは無いっすよ(笑)」


「謙遜、イェーイ(グーパン)」

(グーパン返し)


「じゃ、明日よろしくなー!」

「へーい」


こうして翌日、朝10時。親に車で送ってもらってボウリング場にやってきた。


囲碁サークルの奴らが4人、将棋サークルが3人、俺を入れて総勢8人。

受付を済ませた。


4人ずつで2チームに分かれて4レーン独占、アメリカン方式だ。


皆はレンタルシューズのサイズを合わせて、ハウスボールを選んでいる。

あの囲碁のヤツ、11ポンドとか・・女子かよw

ぁ・・よく見たら女子なのか・・失礼しやしたぁー・・・


さて、俺もマイシューズに履き替えて、マイボールをバッグから取り出す。

高校時代に、何かの拍子でプロボウラーに気に入られて譲ってもらったボールだ。

投球フォームもプロ直伝だ。

カバーボールも出しておこう。

へへへ・・囲碁だ将棋だの面々に負ける気はしないぜ。


(♪♪♪)

グループチャットに通知だ・・・。なになに~・・・ぁ、あのVRゴーグル、

一樹、当選したのか!?

スゲー!やったじゃん!!


ぇ・・え?・・皆も届いたって、なんだよ、抽選じゃねーのかよw

んじゃ今頃ウチにも届いてっかもしんねーじゃん。


あ、まじかよ!

みんなで開封の儀とか・・くっそ! 乗り遅れたーー・・


「宏!お前の番だぞー!早く投げろー」


「ぁ、すんません!」


(パカーーン☆ストライク! ターキー!)


(♪♪♪)

かーちゃんからメッセ・・・お!やっぱ届いたんじゃね!?

やり~!!


早く終わらせて、帰りてぇー・・・


ぁ、なんだよ、玉将先輩・・割れてんじゃん・・・


「ぬぉおおー!ここへきてのスプリット・・角落ちか!いや香車落ちか!・・この状況から考え得る最善の1手は・・・」


イチイチ将棋に例えなくていいから、さっさと投げてくれー・・・


はい、ど真ん中ー・・・


次は囲碁の11ポンドか・・スペア後の1投だな。


「玉将が乱れている今が勝機、大局観を持ってして、中央から攻める!」


・・なんだか難しそうな事言ってるけど・・意味解ってんのか?


ゴロゴロゴロゴロ・・・ゴロン・・・・・


あ~ぁ・・スペア後にガターとか・・もったいね~


───こうして夕方まで、

将棋サークルvs囲碁サークルの仲良しイベントに付き合わされる宏だった...。

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